2016年11月1日から、JALでもふるさと納税が出来るようになっていました。忙しさにかまけて、あまりじっくりと見ていなかったのですが、選択肢として悪くないような気がしてきたので検討してみたいと思います。
JALのふるさと納税
2016年11月1日より、JAL・トラストバンク「ふるさとチョイス」・JTB「ふるぽ」の3社合同による、ふるさと納税の返礼品としてのJAL利用が可能となりました。
大まかに3つの項目に分かれています。
- JALふるさとへ帰ろう航空券
- JALで行くJTBきふたび
- JAL限定 きふたびクーポン
いずれも「ふるぽ」を利用したふるさと納税の返礼品です。今回はこのうち1番の航空券について説明します*1。
ふるぽとは?
その前に、まずはふるぽの説明から。
ふるぽはJTBが運営するふるさと納税ポータルサイトです。自治体の代わりに、ふるさと納税の対応を引き受けている、というような感じでしょうかね。寄付自体は同様のポータルサイトである「ふるさとチョイス」を利用して行います。
ふるぽの採用しているシステムはポイント制です。自治体への寄付額毎にふるぽポイントが貯まり、そのポイントを消費して返礼品を選ぶと言う形式になります。ふるぽポイントは自治体毎に存在するため統合は出来ませんし、ポイントの付与率も自治体毎に異なりますので注意が必要です。
ポイント制度のメリットは、ポイントの有効期間内であれば、ポイントの返礼品への交換がいつでも申し込めると言う事。例えば、12月はふるさと納税の駆け込み消費が激しい時期ですが、ついつい忙しさにかまけていると12月にまとめて申し込んでしまったりします。
そうすると、翌年の1月とかに、一気に沢山の返礼品が届くことになってしまいますよね。保存の利くものなら別ですが、生鮮食品などが多いと消費し切れない、なんていうことにもなりかねません。
しかし、ふるぽの場合は納税枠を予めポイント化しておくことで、返礼品の到着時期を自分でコントロール出来ると言うメリットがあります。年末に枠を使い切った後で、ゆっくりと好みの返礼品を選ぶ、ということも出来ますね。
また、ポイントを数年越しに合算して、より高額な返礼品をもらうという使い方も出来ます。もちろんポイントの有効期限を気にする必要はありますが、長期計画で欲しい返礼品を選ぶことも可能となります。
デメリットとして上げられるのは、ポイントの有効期限を迎えると失効してしまい、返礼品が貰えない事ですかね。一応、申請時に登録したメールアドレスに期限が近いと通知してくれますので気にかけておきましょう。
あとは、ポイントの端数が発生すると、それを利用するためにまた寄付枠を使う必要が出てくる、ということでしょうか。自治体側からすればそれは願ったり叶ったりでしょうけども。
簡単に言ってしまえば、寄付をすると返礼品として、商品に交換出来るポイントがもらえるよ、というものです。
JALふるさとへ帰ろう航空券
前述のふるぽポイントを利用して、JTBのクーポンを手に入れることが出来ます。その返礼品自体は以前からありました。
今回新しく設定されたのは、「JALふるさとへ帰ろう航空券」というものです。これは今までと何が違うのでしょうか?
最大の違いは、以前のものが一泊以上の宿泊を伴う、ツアーなど旅行商品の利用に限定していたことに対して、今回のものはあくまで航空券代だけに利用出来る、というところです。宿泊代には充てられませんが、日帰りの多い修行僧にとっては宿は必ずしも必要ではありません。むしろ、航空券代が下がる方がありがたいかもしれませんね。
対応自治体と空港
2016年12月1日現在、対応している自治体は10ヶ所です。
- 広島県三島市(広島空港)
- 和歌山県白浜町(南紀白浜空港)
- 鹿児島県大崎町(鹿児島空港)
- 鹿児島県中種子町(種子島空港)
- 鹿児島県屋久島町(屋久島空港)
- 鹿児島県奄美市(奄美空港)
- 石川県志賀町(小松空港)
- 秋田県秋田市(秋田空港)
- 兵庫県豊岡市(但馬コウノトリ空港)
- 沖縄県宮古市(宮古空港)
これらの空港に発着する便を利用する場合、その航空券代への充填が可能となります。ただし、但馬空港の場合は伊丹間のみの利用は出来ません。どこかへの乗継ぎを必要とします。
利用方法
寄付して得られたふるぽポイントを使い、目的のクーポンを取得したら、「JTB 旅の予約センター」に電話をし、希望の予約フライトを取ってもらいます。自分で予約してもクーポンは使えませんので、必ず電話すること。手元にふるぽのIDを準備しておきましょう。
予約する際、運賃よりクーポンの所持残額が多いと予約出来ません。差額が発生するようにクーポンを取得・利用し、残額をクレジットで払わなくてはなりません。
航空券は発行されず、寄付申請時に登録したメールアドレスに「JAL e-チケットお客さま控」が送られます。あとは、当日搭乗するだけです。
公式サイトに明記されていないことのQ&A
記載がなかったり、不明瞭だったりしたものについて、電話で「JTB 旅の予約センター」に確認してみました。
Q:クーポンは1点=1円という認識であってますか?
A:はい、そうです。航空券代よりクーポンの点数が多い場合は利用出来ません。差額はクレジットカードで払えるように、クーポンの点数を利用してください。
Q:対象運賃はなんでもいいの?
A:はい、ネットで購入出来るものならば、先割系や株主優待、障害者割など特殊な運賃でも利用出来ます。ただし、パック旅行などには充填出来ません。予約可能日が来ていないものやキャンセル待ちなどはネットから購入出来ませんので、こちらでも対応出来ません。
Q:Jクラスもとれる?
A:はい、予約が出来るなら大丈夫です。
Q:マイルやFOPはもらえるの?
A:通常の航空券とおなじですから、通常貰える分はそのまま貰えます。
Q:直通便しか利用出来ませんか?
A:いえ、乗継ぎ便でも区間全てに利用出来ます。例えば、羽田から種子島に行く場合は鹿児島乗継ぎになりますが、羽田から鹿児島+鹿児島から種子島の合算された航空券代にも、種子島のクーポンは利用出来ます。
Q:便の変更やキャンセルは?
A:変更は出来ません。キャンセルの場合でも代金やクーポンの返金返還もありません。ご注意下さい。
修行に使える?
では、このクーポンを使ってのJGC修行について検討してみましょう。
還元率
自治体毎に、ふるぽポイントの付与率と、クーポンへの交換率が異なります。また、一番ポイント必要数が少ないクーポンは交換レートが悪いため、5万円寄付した時の還元率を見ていきます。
自治体と空港 | 最大還元率 | クラスJ有無 |
広島県三島市(広島空港) | 45% | 羽田 |
和歌山県白浜町(南紀白浜空港) | 45% | なし |
鹿児島県大崎町(鹿児島空港) | 45% | 羽田、伊丹 |
鹿児島県中種子町(種子島空港) | 45% | なし |
鹿児島県屋久島町(屋久島空港) | 45% | なし |
鹿児島県奄美市(奄美空港) | 45% | 羽田、伊丹 |
石川県志賀町(小松空港) | 36% | 羽田、那覇 |
秋田県秋田市(秋田空港) | 36% | 羽田 |
兵庫県豊岡市(但馬コウノトリ空港) | 27% | なし |
沖縄県宮古市(宮古空港) | 18% | 羽田、那覇 |
羽田からだと、宮古が路線としては高FOP獲得路線となりますが、還元率がわずか18%。寄付の返礼としてはかなり率が悪いです。
やはり、選ぶとしたら還元率最大45%の自治体でしょう。他のを選ぶメリットはいまいちないような気がします。
良い修行路線はある?
羽田起点で考えますと、FOP修行的にはJクラスのない路線は微妙。奄美は直行便での往復が出来ませんし、還元率の高い広島と鹿児島でみてみます。
広島の場合、先得でJクラス12000円台、特便で13000円台*2。FOPはそれぞれ704、1104。特便21の往復約27000円に22500円のクーポンを使って、FOP単価2円程度。良さげですね。羽田からは1日最大3往復出来ますから、15万の寄付(実質負担2000円)により15000円弱の出費で6600PPを獲得出来そうです。
鹿児島の場合、先得でJクラス平均14000円台、特便で20000円台。FOPはそれぞれ1022、1422。先得Jクラス往復約28000円に22500円のクーポンを使って、FOP単価5強。広島の方が良さそうな気がしますね。
回数修行としてはどうでしょう。鹿児島、奄美、種子島、屋久島と、島を巡る旅には使えるかも知れません。種子島、屋久島はウルトラ割で鹿児島行き片道が8000円程度。奄美からは喜界島、徳之島、与論島、沖永良部島の便も出ていますから、かなり使える気がします。
提案(50回搭乗修行)
最速JGC回数修行の行程を一部変えた、羽田空港起点の1日12レグ修行に多いに役立ちそうです。
JAL641 | 羽田→鹿児島 | 06:25 – 08:25 |
JAC3781 | 鹿児島→喜界島 | 09:00 – 10:15 |
JAC3830 | 喜界島→奄美 | 10:40 – 11:00 |
JAC3831 | 奄美→喜界島 | 11:25 – 11:45 |
JAC3832 | 喜界島→奄美 | 12:10 – 12:30 |
JAC3861 | 奄美→与論 | 13:10 – 13:55 |
JAC3856 | 与論→沖永良部 | 14:20 – 14:45 |
JAC3850 | 沖永良部→奄美 | 15:10 – 15:45 |
JAC3843 | 奄美→徳之島 | 16:05 – 16:40 |
JAC3844 | 徳之島→奄美 | 17:05 – 17:35 |
JAC3734 | 奄美→鹿児島 | 18:00 – 19:00 |
JAL655 | 鹿児島→羽田 | 20:30 – 22:00 |
なんと、理論上は12レグ中11レグにクーポンが使えてしまいます。
この12レグは最安で12万程になりますが、22500円のクーポンを4枚使えれば3万程度の出費で収まります。1レグ2500円!実際スゴイ!
まぁ、それには20万ほどの寄付が必要なんですけどね…
デメリット
一連の流れを見ると、やはり面倒ですよね。クーポンを取得するところまでは良いのですが、わざわざ電話して便を予約しなければならないことがすごく億劫です。
最大の欠点は、便の変更はともかく、キャンセルで返金されないこと。これが厳しい。
ふるぽには前述の通り、旅行パックに使えるクーポンが他にあるのですが、そちらはキャンセルした時にキャンセル料は払うものの、利用したクーポンは戻ってきます(クーポン自体の期限は変わりません)。今回の航空券は全額ドブ行きですから、絶対に予定が変わらないと言う場合以外は使い辛いでしょう。
また、還元率を最大化するには50000円以上の寄付が必要となります。その場合に得られる航空券代は22500円。悪くはありませんが、収入によっては他の欲しい返礼品を諦める必要が出てくるかも知れません。
まとめ
今回のまとめです。
- JALふるさとへ帰ろう航空券は、上手く使えば修行費用の節約になる
- 特に、FOP派は羽田〜広島便を、回数派は鹿児島・奄美発着路線が良さそう
- ただし、使い勝手はそこまで良くないので、ある程度割り切って使うべし
こんな感じでしょうかね。
ANAのふるさと納税も、開始当初はいまいち感がぬぐい切れませんでしたが、最近かなりの注目株になってきています。JALもそれに追随出来るか。今後に目が離せませんね。