イタリア首相、辞意表明 改憲問う国民投票で大敗
- 2016年12月5日
イタリアで4日、改憲の是非を問う国民投票が行われ、過半数が改憲反対に投票した。これを受けて、改憲を推進していたマッテオ・レンツィ首相は、引責辞任すると表明した。
レンツィ首相は、上下院が全く同じ権限を持つ現状を改め、上院定数を大幅削減するなどの改憲案を提示していた。イタリア公共放送RAIの出口調査によると、改憲支持者は42~46%にとどまり、反対派が54~58%となる見通し。
2年半前に首相となったレンツィ首相は、「みんな、うまくいきますように」と記者会見で報道陣に述べた。5日午後に閣議を開き、辞意を伝え、大統領に辞表を提出するつもりだという。
首相は、イタリアの議会と官僚制度を効率化し、国の競争力を向上させるための改憲案だったと説明しているが、国民投票は実質的には首相への信任投票だったとされている。
投票率は約6割で、イタリアでは異例の高さ。比較的裕福な北部では有権者の3分の2が投票したが、南部での投票率はそれよりかなり低かった。
欧州の共通通貨ユーロからの離脱も主張する「五つ星運動」など、大衆迎合的野党が改憲反対運動を推進したため、この国民投票も、欧州で高まる反・主流派感情を測る指標となるとみられていた。
移民反対を掲げる野党・北部同盟のマッテオ・サルビーニ党首は、出口調査結果が確定すれば、「世界の4分の3を占める大国に対して、人民が勝利した」ことを意味すると強調した。
来年の仏大統領選の有力候補のひとりとされる、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ル・ペン党首は、「イタリア人はEUとレンツィに不支持を表明した。国の自由を渇望する声に耳を傾けなくてはならない」と北部同盟をツイートで称えた。
出口調査の発表を受けて、ただちにユーロは対ドルで下落した。ユーロ圏3番目の経済規模をもつイタリアの財政安定をめぐり、懸念が高まっている。
<解説> イタリア野党にとっての決定打 ジェイムズ・レノルズ、BBCニュース、ローマ
マッテオ・レンツィは賭けに出て……負けた。
有権者は疑いの余地なく、改憲は望まないと首相に告げたのだ。
今回の国民投票の結果は、イタリアに数多くある野党にとって、決定的な勝利だった。主導したのは、大衆主義的な「五つ星運動」だった。
「五つ星運動」の次の目標は、次の総選挙での勝利と、欧州連合(EU)との関係見直しだ。
しかしイタリアの次の総選挙は、2018年2月まで予定されていない。イタリアのセルジオ・マッタレッラ大統領は、与党・民主党にそれまでの暫定首相を選ぶよう要請するかもしれない。その場合は、ピエール・カルロ・パドアン財務相が有力候補だ。
(英語記事 Italy referendum: PM Matteo Renzi resigns after clear referendum defeat)