1921年(大正10年)の開業以来、95年の歴史を刻んだJR留萌(るもい)線の留萌―増毛(ましけ)間(16.7キロ)が4日、最終運行日を迎え、故高倉健さん主演の映画「駅 STATION」の舞台になった終点の増毛駅で、お別れセレモニーが開かれた。
増毛町の堀雅志町長は「鉄道ファンの私が最後の日に立ち会わなければならないのは、非常につらく寂しい」と声を震わせた。JR北海道の島田修社長も参加し、列車の運転士と留萌駅長に花束が贈られた。
沿線には見納めとなる列車を写真に撮ろうと多くの鉄道ファンが集まり、増毛駅では人の列がホームからあふれた。札幌市北区の主婦、松沢真弓さん(42)は「列車内は息で窓が曇るほどの混雑だった。駅や踏切ごとに手を振ってくれる人がいて感動した」と話した。
増毛駅に約30年間勤務した元国鉄職員の渡辺正美さん(88)は、当時の同僚たちとの写真を持って訪れ「亡くなった仲間に駅の最後の姿を見せたかった。時代の流れとはいえ、何とも言えないね」と語った。
留萌―増毛間は、かつて盛んだったニシン漁の衰退や沿線人口の減少を受け利用が低迷。2015年度は1キロ当たりの1日平均輸送人員を示す「輸送密度」が67人、100円稼ぐための費用が2538円とJR北海道の路線で最も悪く、同社は今年4月に鉄道事業廃止届を出した。〔共同〕