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北方領土に特区案 15年秋から協議

根室半島上空から歯舞諸島(奥)を望む。手前は納沙布岬=北海道根室市で2013年1月、本社機から宮間俊樹撮影

合弁企業設立、「ビザなし交流」の対象者拡大も

 今月15、16日の日露首脳会談で主要議題となる北方領土での共同経済活動について、両国政府が昨秋から協議を続けてきたことが4日、分かった。複数の日露外交筋によると、経済特区設置や合弁企業設立、日本国民が査証なしで北方四島を訪れる「ビザなし交流」の対象者拡大などの案が話し合われているという。ただ、日本側は主権が侵害されないことが前提と要求し、司法管轄権などを巡る立場の隔たりが大きいことから両国間の話し合いは難航。首脳会談では最終合意には至らず、「大筋合意」を目指すとみられる。

 外交筋によると、昨年10月の日露次官級協議で、ロシア側は、領土問題を含む平和条約交渉を本格討議するのに先立ち、共同経済活動の開始を議論すべきだと主張。日本政府も領土問題の進展だけに固執せずに、ロシアとの包括的な関係拡大を進めることを重視し、安倍晋三首相が今年5月にロシア南部ソチでプーチン露大統領と会談した際、共同経済活動を前向きに検討する考えを伝えたという。

 首脳間の認識一致を受けて、日露外交当局は6、8月に次官級協議を開き、議論を本格化。ロシア側は北方四島に経済特区を設け、日露の関係者が合弁企業に出向して経済活動を行う案などを提示した。旧島民や学術関係者らに限定されている「ビザなし交流」対象者をビジネス関係者に広げる案も検討されているという。

 一方、事件・事故が起きた際の司法当局の管轄権について、日本側は自国民がロシア当局から取り調べを受けた場合、北方四島の主権を主張する日本の法的立場が害されるとして、例外措置を要求。訪露した岸田文雄外相は2日のプーチン大統領との会談後、共同経済活動について「我が国の法的立場を害さないことが大前提」と強調した。

 ロシアは1990年代後半から、北方四島での共同経済活動を求めてきた。ラブロフ露外相は3日の日露外相会談後、「協力を拡大していけば、複雑な問題を解決できる状況が生まれる」と指摘。自国の法律が適用されるべきだとの立場は崩していない。【大前仁】

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