2016-12-05
■「はじめての深層学習」発売前なのに書評いただきました。そしてAIと剽窃について 
発売前なのに早速書評をいただきました。
長年本を書いていますが発売前に書評を頂いたのは初めてです。
※ジュンク堂など一部の大型書店では発売日より前に本が売られるのが普通なので、こういうこともあり得ないことではありません
発売前だったのですが、ジュンク堂書店池袋本店にふらっといったところ平積み(しかもラスト2冊だった)ので確保しました。DeepLearningなどの本はいろいろ読んだけど、非常実践的!とおもったのですよ。これは実践で使って、商品開発している清水さんならではないでしょうか。
(中略)
過去にいろいろな機械学習の本が出ていますが、Chainer / TenserFlowの使い分けについては自分で試してみる以外なく、そゆ意味では非常に実践的な本です。オライリーや、他から出ている本は、何故Sigmoid関数を導入しなきゃいけないのか書いてあるところまで辿りつくだけで決行なページが割かれているのですが、本書では「こうやるとダメでしょ?だからSigmoid関数つかうんですよ!」と書いてあり、その後に「Sigmoid関数でもダメな学習もあるでしょ!」と使い方に徹してします。助かります。
ただ、機械学習の基本的な知識なしでもできるようにした半面、体系的な知識が欲しい人向けには、オライリーなどから出ている本で基礎知識を確認してから読むと「ははーん、なるほど。Chainerではこうやるのか。」と分断された知識が1つになります。
栗田さんありがとう!
というわけで、今週発売予定ですが、わりと売れてるらしいのでご予約はお早めに
- 作者: 清水亮
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2016/12/07
- メディア: 大型本
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栗田さんの書評にあるように、「なんで?」という知識が知りたい人は他の本との併読をお勧めします。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
- 作者: 斎藤康毅
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2016/09/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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↑これとかオススメですよ。
まあしかしね、人工知能がなんでもできるようになってきてものすごい緊張感がでてきたよねー。
そして一方でEverfilterみたいなインチキにも対応していかなきゃいけない。
たまたまEverfilterは丸パクリだったからたぶん明確に著作権侵害と言えると思うんだけど、Welqじゃないけど多少のコンテンツの変更があったら現行著作権法では対処できないということに成りかねないわけで。
次に問題になるのは、Deepartみたいに、元ネタが完全に消えてしまうけれども雰囲気は残るような作品の場合をどうするか。
左が生成画像、中央がコンテンツ画像、右がスタイル画像
これはまあ、ぜんぜん違う絵だからあくまでも「ムンク風」になると思うけど
ただ、もっと学習が進んでいけばもっといろんなことができるようになってしまうのは疑いようもなく。
その問題に関しては先回りして議論しておかないと混乱が起きかねない。
僕が思うのは、あくまでも主観的に「これは同じだろ、と思われたらダメ」としか実は判断できないのではないかということ。たぶん杓子定規なルールは作れなくて、まあ裁判官なり陪審員なりが「これは同じだろ」と思ったら同じものとして扱うようにしないといろいろマズい。
ただ、もっと怖いのは、そういうコンセンサスにすると、「似てる」でもダメになってししまう可能性があるということ。
たとえば田中圭一
- 作者: 田中圭一
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2015/04/05
- メディア: コミック
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田中圭一は意図的に手塚治虫など他の人のタッチを真似してパロディとして漫画を描く。
これは著作物として認められるのか、認められないのか。
さらにいえば、日本には二次創作の文化があり、コミックアンソロジーなども堂々と出版されている背景がある。
つまり法律的には限りなくグレーな部分だが、たとえば田中圭一の「三鷹の森の女子会」はこんな漫画だ。
明らかに、ある作家のキャラクターをそのまま剽窃しているが、世界観を踏襲しているのでこれは盗作ではなくパロディとわかる。
じゃあこれを許すのか、許さないのかというのは実は難しい。
どうみてもドラえもんだが、どう見てもドラえもんじゃない。
単にこんなキャラクターには誰も愛着を持たないから著作物としては無価値だが、仮にこれに人気が出てしまったらどうするのか。
著作権に多少は敏感な人でも、無頓着に使っているのがフォントである。
上の2つのWindowsの書体の違いが分かるだろうか?
どちらがより美しいと思うだろうか?
少し意地悪なクイズだが、これはフォントを扱う人が最初に出くわす関門でもある。
正解は、上がWindowsの標準書体であるArialであり、下がMacやiOSの標準書体であるHelveticaだ。
Helveticaが作られたのは1957年、Arialが作られたのは1982年である。
経緯は省くが、簡単にいえば、ArialはHelveticaのパクリである。
その証拠にフォントを重ねると幅がピッタリと一致するように作られている。
こんなことは、意図的にやらなければ絶対にそうならない。
Helveticaは極めて美しいフォントで、ほとんど完璧なまでの美を誇っている。
Arialは、Helveticaを開発したライノタイプ社にカネを払いたくない人が発明したコピーフォントで、それを採用したのがWindowsである。
Windowsでは、フォントにHelveticaが指定されていると自動的にArialに変換されるという、信じられない実装が行われている。ビル・ゲイツがフォントにライセンス料を支払う価値を認めなかったからだ。
つまりWindowsを日常的に使っていると、劣化コピーされたフォントを日常的に見ることになる。
さて、現行法では、Arialは著作権侵害とは見做されない。
でも不思議だ。
重ねてみればわかるように、ArialとHelveticaは、99%くらいは一緒なのである。
ArialがHelveticaの著作権侵害とならないよう"意図的に"字形を劣化させている以外は、ほとんど同じだ。
Arialが許されるならば、たとえばEverfilterも新海誠の絵を反転させて縮小しているのだから多少は変形されている、と考えることもできてしまう。
しかしEverfilterを許さないとするならば、Arialは何故許されるのか。
実はArialは意図的にHelveticaの美しさをブチ壊しにするいくつかのフォントでエキスキューズしている。
詳細のディティールをわざと変えているのだ。
ただ、こんな小手先のごまかしだけで「違う著作物です」と主張できるのならば、ドラえもんの髭の数を変えれば誰でもドラえもんを使って良いことになってしまう。
はてさて、AIの著作性を議論するということは、人間の著作性を議論するのとほぼまったくおなじフレームワークを使う必要があるのである。
なぜなら、この場合、「誰(何)によって作られたか」が問題なのではなく、「あれとそれはどう違うのか、どのくらい違えばオリジナルと言えるのか」という問題になっているからだ。
最後に、20世紀を代表する芸術家、パブロ、ピカソの言葉を引用しよう
Good artists copy. Great artists steal.
(良い芸術家は真似をし、偉大な芸術家は盗む)
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