事実上の首相信任投票 イタリア国民投票開票始まる

事実上の首相信任投票 イタリア国民投票開票始まる
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イタリアで行われた憲法改正の是非を問う国民投票は、日本時間午前7時に投票が締め切られ、開票作業が始まりました。今回の国民投票は事実上、レンツィ首相の信任投票と受け止められていることから、結果によっては政治が不安定化し市場に影響が広がることも、懸念されています。
イタリアの国民投票は、議会上院の権限を縮小し、原則として下院の承認だけで政府を信任し、法案を可決できるようにする、憲法改正の是非を問うもので、投票は日本時間の4日午後から行われ、5日午前7時に締め切られました。

憲法改正をめぐって、レンツィ首相は、議会を改革することで安定した政治を目指すと訴えていますが、政府や既存の政党に対抗する新興政党「五つ星運動」は、政府の権限強化を狙ったものだとして強く反対しています。

レンツィ首相は経済を立て直すためとして、労働市場改革や銀行の不良債権処理を進めていますが、国民に痛みを強いる政策は世論の反発を招き、おととしの就任当初と比べると支持率は低下しています。

今回の国民投票について、レンツィ首相は否決されれば辞任する可能性も示唆していることから、事実上の信任投票と受け止められていて、結果によっては政治が不安定化し市場に影響が広がることも懸念されています。

大勢は日本時間の5日昼にも判明するものと見られています。

支持率低迷のレンツィ首相

レンツィ首相はイタリア中部のフィレンツェ出身の41歳。フィレンツェ市長や中道左派の民主党の書記長を務めたあと、おととし2月に首相に就任しました。若く行動力のある政治家として、経済の立て直しを期待され、レンツィ政権は発足当初、60%を超える支持率を得ていました。

しかし、レンツィ首相が取り組んできた労働市場改革や銀行の不良債権処理は、国民に痛みを強いているとして世論の反発を招いているほか、首相の政治手法が独断的だといった批判もあり、現在の支持率は40%台に落ち込んでいます。

新興政党 五つ星運動とは

イタリアの新興政党の「五つ星運動」は、2009年にコメディアンのベッペ・グリッロ氏が設立したものです。

既成政党を厳しく批判し、政府による緊縮策やEUの単一通貨のユーロに反対し、厳しい経済状況や政治家の汚職などに不満を募らせる有権者の間で支持を広げてきました。

議会下院では、与党民主党に次ぐ勢力となっているほか、ことし6月の統一地方選挙では首都ローマや北部のトリノで「五つ星運動」の市長が誕生しています。