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病院に献花台 多くの市民ら冥福祈る

事故から一夜明け、現場に花を手向ける原三信病院の平祐二院長(左)=福岡市博多区大博町の原三信病院で2016年12月4日午前9時37分、平川昌範撮影

 タクシーが突っ込んで死傷者が出た福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院。原三信病院は4日午前、事故現場となった東館1階ラウンジ前に献花台を設置した。事故は3日午後5時ごろ、病院東館1階のラウンジで発生。3人が死亡した他、20代の女性が意識不明の重体となり、男女6人が軽傷を負った。死亡したのは、福岡市博多区豊1、無職、花田盛幸さん(44)と妻の会社員、美佐代さん(44)、同区東比恵4、無職、遠藤一行さん(53)。小雨が降る中を医師や看護師ら約50人が黙とうし、平(たいら)祐二院長(64)と柳迫(やなぎさこ)昌美看護部長(51)が代表してテント内に置かれた献花台に花を手向けた。

 その後、多くの市民らが訪れて犠牲者の冥福を祈り、献花台はキクの花などでいっぱいになった。平院長は「お亡くなりになった方のご冥福を祈り、負傷された方の一日も早い回復を心から祈っています」と話した。

 病院関係者によると、死亡した3人は知人同士。入院していた遠藤さんを花田さん夫妻が子供連れで見舞いに訪れ、ラウンジ内に一緒にいたところで事故に遭ったとみられる。

 遠藤さんは元タクシー運転手で、かつて勤務していたタクシー会社社長らによると、1989年ごろから十数年勤務した後に個人タクシーを始めた。しかし糖尿病が悪化して足を切断し、その後は車いすでの生活を続けていた。社長は「親分肌で後輩の面倒見が良かった。運転手時代は安全運転に気を使っていた。こんな事故に巻き込まれていたたまれない」と唇をかんだ。

 花田さん夫妻は小学2年の娘と3人暮らし。近所の住民によると、数年前に夫の盛幸さんが病気を患い、美佐代さんが働いて家計を支えていたという。同じマンションの60代女性は「とても子供を大切にしていた。残された子供が心配だ」と涙を浮かべた。

 一方、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で逮捕された松岡龍生容疑者(64)はタクシー運転手として35年以上の経験があるベテラン。福岡市内のタクシー会社で10年以上勤めた後、94年から個人タクシーを営んでいた。所属する博多個人タクシー協同組合によると、松岡容疑者は6、7年前に1度体調を崩し、夜間中心の勤務から昼間中心に変えたが、その後は健康診断でも問題はなかった。事故を起こしたトヨタの「プリウス」は4、5年前に新車で購入し、今年9月の定期点検でも特に異常は確認されなかった。

 同組合の畑江久重理事長(62)は「青天のへきれき。人のために一生懸命頑張る人で、なぜあの人がと思った」と絶句。元同僚のタクシー運転手の男性(69)も「無謀な運転をする人ではない。ベテラン中のベテランで事故を起こしたと聞いたこともない」と驚いていた。【蓬田正志、遠山和宏、宗岡敬介】

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