松川希実
2016年12月5日00時34分
介護現場で働く外国人が、早ければ来年度から大幅に増えそうだ。技能実習制度として受け入れる道が広がったためで、アジアの国々では人材の争奪戦が過熱。人材不足にあえぐ日本の施設も狙いを定めるが、技能や知識を途上国に移すという制度の目的とかけ離れた動きになっている。
11月半ば、ミャンマー最大の都市ヤンゴンの一室に日本語が響いた。
「じゃあ言うよ。実は、まんじゅうが怖いんだ」
20代前半の男女5人が、古典落語「まんじゅうこわい」を音読していた。オチまで読んでニヤリ。「これは笑い話ですね」と日本語で言い合った。5人は日本の介護現場で働くことをめざし、1年間にわたり訓練を受けている。
この教室は、日系のジェイサットコンサルティング(JSAT)が昨年7月に医療団体と協力して開設。介護に特化した人材育成プログラムだ。まず適性を見るため、1カ月の座学を経て老人ホームで1カ月間の実習をする。掃除やオムツ洗いをやり切った人だけが日本語訓練に進む。「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」という日本語能力試験3級以上のレベルが目標だ。
西垣充(みつる)社長(46)は「介護をやりたい人材でなければ、日本での仕事に疲れて逃げてしまう。きちんと育てれば良い人材が育つ例を示したい」と意気込む。
適性試験に合格し、6月から日本語教室に通うウィー・イー・トゥーさん(24)は日本の介護現場で働いてお金を稼ぎ、育ててくれた祖母に恩返しをしたいと希望。「仏教のクドー(功徳)にもなるし、いつか故郷に老人ホームを建てたい」と夢を膨らませる。
■ミャンマーに注目
日本の介護現場は人材不足が深…
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