1921年(大正10年)に開業した北海道のJR留萌(るもい)線留萌―増毛(ましけ)間(16.7キロ)は4日、最終列車の運行を終え、95年の歴史に幕を下ろした。故高倉健さん主演の映画「駅 STATION」の舞台の終点・増毛駅ではお別れセレモニーが開かれ、沿線住民や鉄道ファンらが別れを告げた。
増毛町の堀雅志町長は「鉄道ファンの私が最後の日に立ち会わなければならないのは、非常につらく寂しい」と声を震わせた。JR北海道の島田修社長も参加した。
沿線には見納めとなる列車を写真に撮ろうと多くの鉄道ファンが集まり、増毛駅では人の列がホームからあふれた。札幌市北区の主婦、松沢真弓さん(42)は「列車内は息で窓が曇るほどの混雑だった。駅や踏切ごとに手を振ってくれる人がいて感動した」と話した。
JR北海道によると、最終列車は満員の約300人の乗客を乗せ、定刻より約20分遅れて午後8時10分に増毛駅を出発。駅では約600人が見送った。地元のブラスバンドが「蛍の光」を演奏、住民らがペンライトを振って別れを惜しんだ。
増毛町駅前通り商店会の本間桜会長(56)は「今晩は悲しみにひたり、明日から駅をどう活用するかみんなで検討したい」としんみりと話した。
留萌―増毛間は、かつて盛んだったニシン漁の衰退や沿線人口の減少を受け利用が低迷。2015年度は1キロ当たりの1日平均輸送人員を示す「輸送密度」が67人、100円稼ぐための費用が2538円と、JR北海道の路線で最も悪く、同社は今年4月に鉄道事業廃止届を出した。
最終列車は廃止区間を過ぎた後、留萌市内を走行中にシカと衝突し約8分間停車。午後9時54分ごろ、約40分遅れで終点の深川駅に到着した。〔共同〕