新海誠監督が手掛けるアニメーション映画としては6作目の「君の名は。」は、夢の中で“入れ替わる”少年と少女の恋と奇跡の物語。東京で暮らす少年と、飛騨の山奥で暮らす少女の、世界の違う二人の隔たりと繋がりから生まれる「距離」のドラマは、「アニメーションの新領域」を開く作品として、高い評価と圧倒的な支持を得ている。作画監督は「千と千尋の神隠し」など数多くのスタジオジブリ作品を手掛けた安藤雅司、キャラクターデザインは新時代を代表するアニメーター田中将賀など、日本最高峰のスタッフが結集した。またキャストも、少年・瀧(たき)に神木隆之介、ヒロイン・三葉(みつは)には上白石萌音。その他、長澤まさみ、市原悦子など実力派俳優が脇を固める豪華な顔ぶれになっている。
日本では8月26日の公開以来、11月末の時点で興行収入194億円を突破し、宮崎駿監督の「もののけ姫」を超え、日本における歴代興行収入ランキング6位(日本映画では3位)に入った。5位の「ハウルの動く城」(196億円)超え、そして200億円突破も確実視されている。そんな「君の名は。」旋風は、アジア・ヨーロッパでも快進撃を続けている。
◆君の名は。旋風はアジアからヨーロッパまで
中国では12月2日から66000のスクリーンで一斉ロードショー。Varietyの報道によれば、初日から26万7千人の観客を集め、1日で1090万ドル(約12億円)もの驚異的な興行収入を上げた。興収331万ドル(約3億7千万円)の「ファンタスティックビースト」は2位に後退。公開から8日間で6千40万ドル(約68億円)を売り上げたヒット作も、「君の名は。」の勢いには勝てなかったようだ。
その他、10月21日に公開された台湾では、公開1週目の週末興行ランキングで第1位を獲得。10月31日にそれまで邦画歴代首位だった「リング」の台北での興行収入1億6200万円を超え、歴代邦画興行収入第1位を達成。タイでは11月10日に公開、11月27日の時点で興収119万ドル(約1億3千万円)。11月11日に公開された香港では、週末3日間で約8600万円の興行収入で、週末興行ランキング1位を獲得している。11月24日にアニメ上映としては最多の104のスクリーンで公開されたイギリス、アイルランドでも、アニメ映画における1日の興行成績としては過去最高の 12万ユーロ(約1500万円)を記録。27日には倍近い2900万円まで興収を伸ばしている。
◆海外メディアからも高い評価
また、海外のメディア、ユーザーの評価も軒並み高い。英ガーディアン紙、英EMPIRE誌、英テレグラフ紙は、満点の五つ星の評価を与えており、ユーザー投稿のレビューサイトでも高い評価を得ている。「ズートピア」さえ四つ星の評価にとどめた英EMPIRE誌は、「新海誠の話術の大胆さ、交錯する魅力的な主役キャラの巧みな操作、熟練の手描きビジュアル、これらすべてが織り合わされ、華麗で壮大な映画体験を形作っている」「今年、日本のアニメを1作だけ選ぶならこの作品しかない。しかも何度でも観るべき」と、評者の感動が伝わってくる絶賛ぶりだ。
今も日本全国で大ヒット上映中の本作は、既に海外86ヶ国で配給予定、2017年には北米で公開される。また、「アニメのアカデミー賞」と呼ばれる第44回アニー賞の、長編インディペンデント作品賞と監督賞の2部門にノミネートされた。社会現象となった「アニメーションの新領域」は、さらに世界にも影響を広げそうだ。