オウンドメディアに求められるたった1つの能力とは【ライター勉強会】

当ブログメディア「エレキホーダン」のメンバーでライターとして活躍する武者良太氏が主催となり、2016年12月3日に東京・五反田のコワーキングスペース「CONTENTZ」にて「ライターLv Up(レベルアップ)勉強会」が開催されました。

勉強会の趣旨などについては「記事広告で稼げるライターになるために必要な10個のコト【ライター勉強会】」をご覧いただくとして、ここでは武者氏に続いて登壇したライター・編集者の長谷川賢人氏による講演「オウンドメディアに求められるたった1つの能力」を紹介していきたいと思います。

ライター・編集者の長谷川賢人氏

長谷川氏は新卒で紙問屋に就職してから3年後に編集者・ライターとして仕事を始めたそうです。最初に所属したのがメディアジーンの「Lifehacker 日本版」で、3年間編集やライティング、記事広告制作などを担当。副編集長を務めた後、「北欧、暮らしの道具店」というECサイトを運営するクラシコムに転職。そこで1年3~4カ月ほど働いた後に、現在はフリーランスとして編集者・ライターの仕事をしているとのことです。

ECもやって広告も取るオウンドメディアはヤバイ!

長谷川氏はオウンドメディアについて、2~3年前から企業のマーケティングやコミュニケーション方法として定着してきたスタイルだと話します。

「トリプルメディア戦略といって、3年ぐらい前から、企業が自社メディアを持って発信しましょうという流れが出てきました。記事広告で露出するとなると、継続的に関係性が作りにくい。お客さんとの関係性を構築したり、継続的に顧客にリーチしましょう。それを元に営業しましょうということです。メディアビジネスとしてかなり流行の兆しが出ているのがこのオウンドメディアなんです」(長谷川氏)

運営会社は「トヨタやリクルート、パソナキャリア、楽天などさまざまですが、人材系が多いです」(長谷川氏)とのこと。

「ROI(投資収益率)が上がっている企業や、1人あたりの採用単価が高いところが、自社で採用したいというときに発信します。最近はメルカリなどのように自社の情報を発信して、そこから採用したいというのもあります」(長谷川氏)

長谷川氏によると、Webメディアは「インディペンデントメディア」と「オウンドメディア」の2パターンに分かれるそうです。

「インディペンデントメディアは広告販売やコンテンツ課金などによって商売する、メディア力があるメディアです。強みは中立性や批評力があることです。BuzzFeedやTechCrunchなど、燃えている(ネットで炎上している)ところに突っ込んでいけるのがインディペンデントメディアです。ビジネスの売り上げ、ユーザー数がどれくらいいるのか、あとはどれくらい“ヤバイ”かが価値になります」

“ヤバイ”という表現がなかなか興味深いですが、要するに“とがっている”ということでしょう。どれだけ独立独歩で刺激的でいられるか、ということですね。

「オウンドメディアは何かというと、本業があります。こちらはメディアが売れなくてもいいんです。メディアに広告を入れてビジネスをするのではなく、人材派遣会社なら派遣業でお金がある(稼いでいる)ので、それをオウンドメディアに入れています。ビズリーチなどもそうです。人材紹介ですが、そこでマッチングして代理業で儲けて(オウンドメディアに)入れます。トヨタなら車を売って入れるという仕組みです」(長谷川氏)

オウンドメディアの強みは「独自性」とのこと。

「炎上しているところに突っ込んで記事を書いてPVを取るという発想がないので、作りたいものを作れます。KPI(達成指標)は文化を創りたいとか、自分たちの会社のミッションを浸透させたい、価値そのものの創造とかさまざまです。あるビジネスオウンドメディアの場合、記事を作りたいので取材したいと言えば、企業のCEO(最高経営責任者)に会うことができます。これは営業的にメリットです。『本業では人材派遣とか採用アシストをしている』といい、そのCEOにヒアリングができます。オウンドメディアを営業として使える人は営業成績が高いそうです」(長谷川氏)

これはすごいことですね。例えばデジタル機器やガジェットが大好きでしょうがない人が、大好きなメーカーの発表会に行きたいと思っても、そりゃ当たり前ですが読んでもらえません。しかしブログを立ち上げて「ブロガー」を名乗り、広報部にお願いすれば発表会に呼んでもらえたり、発売前の製品を貸し出してもらえたりします。普通の企業の営業担当者が、アプローチしたい企業(しかも大企業の場合もあります)の社長に会いたいと思っても、そんな簡単にはいきません。しかしオウンドメディアをやれば、そのチャンスは飛躍的にアップするというわけです。もちろんメディアの特性によって取材がかなわない場合もあるとは思いますが、オウンドメディアは営業ツールにもなるというわけです。

「ECとオウンドメディアと広告を全部やっているという企業、これはヤバイです。EC、メディアも展開して記事も出して、お客さんとコミュニケーションするんですよ。僕がやったのはボルボ、レクサス、無印良品、キリンビールなどですが、『北欧、暮らしの道具店』はECとオウンドメディアと広告を全部やっています。オウンドメディアは他に原資があるため、そもそも専業で稼がなければいけないというメディアではないこともヤバイ点です」(長谷川氏)

オウンドメディアで仕事するために必要なのは「共感力」!

世の中の流れに翻弄されながらバズる(SNSなどで拡散される)記事を書かなければならない(というと大げさかもしれませんが)インディペンデントメディアに対し、独自の視点で書くことができるだけでなく、利益率の高い企業がバックにいることから原稿料も期待できるというオウンドメディア。では、どうすればそのオウンドメディアから仕事をもらえるようになるのでしょうか。

それは「共感力です」と長谷川氏は語ります。

「メディアや編集者と共感しながら作れるか。僕は30歳。オウンドメディア担当者や企業担当者はITにも明るくないといけないため、30歳前後が多く、20代前半もいるくらいです。あまり年上だからどうこうというより、担当者の年齢がそのくらいなので、価値観やネット環境などが違う人とコミュニケーションを取りながら記事を作らなければならないのです」(長谷川氏)

ここで長谷川氏は、はてな ビジネス開発本部 営業部長 高野政法氏のコメントを紹介しました。

「『オウンドメディアを開始する時は、成果とは何かを定めることが重要。KPIやターゲット層、編集方針などすべての項目が変わる』。何を成果としてやるか。『ライターに関係なくね?』と思われるかもしれませんが、関係あるんです」(長谷川氏)

では、「オウンドメディアの成功」とは何なのでしょうか。

オウンドメディアの成功とは成果の達成だと長谷川氏は語ります。

「これはメディアごとに違います。どれだけ“燃やしたか”でも『SNSでシェアされたか』でもありません。メディアのタグラインだったりAboutページ、本業(とオウンドメディア)との関連性を見ながら想像しましょうということです。このメディアはこういうことをしたいんだ。だからこういうコンテンツを作っているんですねと、それが『共感力』です」(長谷川氏)

ここで長谷川氏が紹介したのが、とあるオウンドメディアのタグラインです。上から雑貨の販売サイト、グループウエアのメーカー、オフィス什器などの販売会社、ソーシャルメディアマーケティングなどを手がける企業とのことです

そして、その「成果」とは「課題の解決」か「価値の創造」だと長谷川氏は話します。

「たまに勘違いしている人がいますが、1990年代ぐらいにはやった『メセナ』(企業による芸術・文化支援活動)とは違います。マーケティングなど自社ではどうにもできない課題を解決したり、さきほどの営業ツールとして使ったりなど、何かしらの目的を持ってやっているのです」(長谷川氏)

それぞれのオウンドメディアが持つ個々の“ゴール”を理解し、ビジネスパートナーとしてその考えに付き合えなければ、仕事がアサインされることはまずないと長谷川氏は語っていました。

オウンドメディアでは意識すべき領域が広がる!

ライターが意識しなければならない領域も、一般的なメディア(インディペンデントメディア)に比べてオウンドメディアの方が広いと長谷川氏は話します。

「インディペンデントメディアで考えなければいけないのは、読者、担当編集者、編集部編集長、メディアのビジョンに沿っているか、などです。普通の記事の場合はこれくらいでできます。一方オウンドメディアの場合、読者、担当編集者、本業の担当者、メディアのビジョン、オウンドメディアの課題理解、本業への効果、本業への社会的影響、本業の競合他社がどう見るかなど幅広いです。オウンドメディアの記事の内容は本業の『公式見解』ととらえられかねないので、考えなければいけない領域が広がるのです。好きに書けばいいというものではありません。そういう意味では記事広告に似ています。想像力とか、小説家や演出家に近いスキルを持っていればいいと思います」(長谷川氏)

オウンドメディア編集者が仕事をしたくなるライターの特徴は?

この勉強会で講演をするに当たって、長谷川氏はオウンドメディアの編集長など5人にアンケート調査を実施したそうです。

アンケート項目は以下の通り。

1.一緒に仕事をしやすいライターの共通点
2.仕事を発注したくなるライターの要素
3.通常の記事より守るべきポイント
4.オウンドメディアならではの良さ

■1.一緒に仕事をしやすいライターの共通点

まずは、一緒に仕事をしやすいライターの共通点について。

特に大事なのが、「理想に共感できる伴走者になれること」だと長谷川氏は語ります。

「(オウンドメディアは)目的があって作っています。メディアのビジョンとか、作り上げたいことがあります。『一緒に走りましょう』といって共感し合える間柄。これはインディペンデントメディアもそうだと思いますが、特にそこはオウンドの方が強いと思います。『クリエイティブレイヤーだけでなく、ビジネスレイヤーで対等に話せる』ことも大事です。(本業への)社会的影響や、記事が出ることでどういう声が来そうだと想像しながら書くとか。文章力が高い、想像力が高いというだけでなく、ビジネス観点でお付き合いできる方が好かれていました。そういう人は理解が早くて仕事がしやすいんです」(長谷川氏)

■2.仕事を発注したくなるライターの要素

続いて「仕事を発注したくなるライターの要素」についてです。

「『メディアらしさを考え、提案したり、提案をさらに提案で返してくれること』。これは言い替えると『企画力』に近いですね。大事なのは『メディアらしさを考えているか』にかかっています。また、『クライアントの収益モデルと、弱み・強みを理解し、コミュニケーションが取れるか』。『あなたの会社はここが強くて、ここが弱いためにオウンドメディアをやっているんですね』と。それを理解して話せるぐらいになることです」(長谷川氏)

また、これは筆者のように年のいった書き手より、若い人に朗報です。

「『ライター経験』よりも、『伸びしろがあるか』、『レスポンスが早くやりとりできるか』、『素直に直せるか』、『納期を守れる信頼性』などを歓迎していると話していました。未経験でも大丈夫だし、(オウンドメディアの編集者には)年齢的には若い人が多いと思うので、対等にコミュニケーションが取れることが大事です」(長谷川氏)

■3.オウンドメディアだからこそ注意すべきこと

インディペンデントメディアとは違う、オウンドメディアだからこそ注意しなければならないことにはどのようなことがあるのでしょうか。

例えばインタビュイー(インタビュー相手)がとても興味深い発言をしたとしましょう。ベンチャー企業の社長など、自信満々で前のめりに発言する人ほど、刺激的な言葉が出てくることは数多くあります。

しかし「どんなに面白くても、メディアのビジョンとそぐわなければ削除した方がいいです。こいつ分かってねえなと思われます」と長谷川氏。

また、「読者とクライアントの両方をバランス良く意識する」ことも重要だと長谷川氏は話します。

「面白ければいいとかバズったらいいとかではなく、クライアントが常に付いてくることを意識しなければいけませんし、読者にとっても提灯記事になっては絶対にダメです。いい記事を作るのには、クライアントと読者の両方が(意識の中に)入っているかが大事なんです」(長谷川氏)

そして、もう1つ重要なのが「表現の安全性」です。

「『表現の安全性には強く気を配ってもらいたい』。(オウンドメディアの内容などが)本業に影響を与えると回復困難になります。どこに意識するかによりますが、例えば競合他社です。自動車メーカーが『うちの車がナンバーワン』だといったら他社はいい気がしないですし、『自分のところ(オウンドメディア)でふかしている』となると問題になります。自分が書いた文章によって、読者だけでなく、業界や他のお客さん、取引先からチェックがあるのではという危機意識が必要です」(長谷川氏)

もし本業への影響として安全ではないかもしれない……という場合にはどうすべきでしょうか。

「そういう場合は『社長はこう話しているがどうするか』という形で編集者にコメントを残すのも方法です。オウンドメディアは経営課題を解決するためにやっているので、問題が起きたら本末転倒、それならやめた方がいいとなる。特に『表現の安全性』についてはどんなに面白くてもいけてそうでも、『これをあの人が見たら……』という意識を持って回避するようになるときっと助かると思います」(長谷川氏)

■4.オウンドメディア「ならではの良さ」とは

オウンドメディアの良さについては、長谷川氏もオウンドメディア編集者だったこともあって「目指すべき理想があって、そこに向かってメディアを作り続けられること」だと強調しました。

また、「そういうのあり?という企画が実現しやすい」というのも特徴だそうです。「記事掲載」や「メディアの成長」はオウンドメディアの「目的」ではなくて「手段」なので、イベントや他企業とのコラボなどもありだそうです。

「他と争わずに作り込める」ことも長谷川氏は強調していました。

「例えばAとBというメディアがあったとします。意識的には、速報性で考えると他社よりも早く出したい。つまり争い合わなければいけないのです。ライフハッカー編集部のときには(競合として)新聞や雑誌がありました。例えば発表会が夜にあったとして、新聞は朝刊で出てしまいます。それより前に記事を出して、しかも一番長くて(詳しい)となると、新聞と争わなければならない。これはすごく大変です。そんなところと無縁になり、しかも自分の理想のために作れるんです」(長谷川氏)

「本業への影響でもいいことがあります」と長谷川氏は続けます。

「他の部署とのコラボによって営業が(仕事を)取れて感謝してくれるといったこともあります。提案なども含めて取ってくる営業は成績が良いので、(ノウハウを)吸い取ってメルマガや社内メールで配信することもあります。『こういう風にやって取ってきた営業がいました』などと配信することで、チーム間連携が取りやすくなります。オウンドメディアは非採算部門のため、他人の視線が気になる立場の人もいます。そのため(オウンドメディアに)価値があると見せなければいけません。これはライターの範疇ではありませんが、そういうのを見せるのがいいんです。営業資料に使えますよとコメントを残すなど、自分の仕事の価値を上げる提案ができることが重要です」(長谷川氏)

オウンドメディアで執筆したい!……どうすれば?

さて、ではオウンドメディアで実際に執筆したいとなったら、どうすればいいのでしょうか。

「『記事の実績』しかないです。(オウンドメディアの編集者にとって)それでしか安心できないですし、これほど自分を物語ってくれるツールはないです。僕は『Lifehacker』と『北欧、暮らしの道具店』で男性向け記事や、30代、40代女性に刺さる広告、ほっこりする写真セレクトなどをやってきました。それらが物語って、記事が僕に仕事をくれるという状況が生まれるとベストかなと思っています」(長谷川氏)

すでにWebで仕事をしているライターは、それをまとめてプロフィール(自分のブログなど)に載せるだけでもいいのですが、問題は「紙の仕事」、つまり雑誌などでの仕事です。

「紙の記事はWebで見られない(ことが多い)ので、プリントを渡すわけにもいきません。Webで何かしら見られるようになっていると向こうは助かると思います」(長谷川氏)

自己アピールのためにメディアを作って「記事」を書こう!

長谷川氏は、自己アピールやセルフブランディングをするためには「独自で記事を書くことが重要」だと語ります。

「『ブログ』ではなく『記事』です。編集者が発注するのは記事ですから。ライターに『ブログを書いた方がいい』といった話はたくさんあったと思いますが、僕は『記事を書いてほしい』と思います。それは『広告記事』でもいいです。例えば『サントリーから記事広告の依頼がきた』という想定で書くとかもいいと思います」(長谷川氏)

このあたりはちょっと誤解を招く表現かもしれません。「ブログ」と「記事」の違いというのは、筆者は前者が「エッセイのようなもの」、後者は「新聞や雑誌などで見る、きっちりと事実関係を中心に中立的に書いたもの」というように理解しました。あくまでも「雑誌などのメディアで編集記事を依頼された」、もしくは「記事広告を依頼された」ということを想定し、「記事の体裁で書く」という意味ですね。

筆者も、「雑誌などのメディアの都合に左右されず、自分たちが書きたいテーマをいつでも書けるメディア」という意味で仲間たちと「エレキホーダン」というブログメディアを立ち上げました。30分ほどの短い時間で書き上げるような記事もあれば、今回のリポートのようにしっかりと時間をかけてまとめる記事もあります。こうした取り組みは物書きとしての我々の力を高めるとともに、セルフブランディングにもつながると考えて取り組んでいる状況です。そのため、長谷川氏の主張には全くもって同感です。

「記事をぜひ書いてほしいなと思います。インタビューでもいいです」(長谷川氏)

イベントリポートをその日の夜にアップ

長谷川氏は、自身の事例を紹介してくれました。

「Medium(当エレキホーダンでも利用しているブログサービス)でWIREDの編集長が語るイベントのリポートを書きました。1人で2時間しゃべっているのを聞きながら全力で書き、2時間で2万5000文字くらいになりました。これを聞き書きして編集し、その日の夜に出しました。3つのパートに分けて記事にして、感想とか洞察とかを入れて、リードを作って。昨日のイベントが上がってるじゃんと、読んでくれていろんな人に感謝されました。ある編集者が、僕がフリーになったときに『あの速度で出せるんですか? イベントレポートあるんですけど』と連絡をくれました。これはどこかのメディアの記事じゃないんですよ。ただ自分で書いたもの。でもこうやってイベントレポートの仕事が来るんです」(長谷川氏)

無償で書いた記事がきっかけで仕事につながる……そんなこともあるんです

もう1つテクニックとして「NAVERまとめで自分の作った記事をまとめておく」という方法も紹介していました。

「NAVERまとめでまとめたものを、編集者に会う前に送っておくんです。Webメディアの記事は点在するので、それらを『ググってくれ』は不親切です。どういうメディアで書いてきましたというのが一目で分かります。あと(まとめるのは)『調整できる』のもメリットです。自信のあるやつだけ載せられるので、勝手に評価が上がるんです」(長谷川氏)

仕事履歴をまとめておくというのは当然のことと思いますが、筆者もそれをどこかに披露しているかというと、今はやっていません。こういうことをしっかりと押さえておくと、仕事を取りに行くときの営業ツールとして便利なだけでなく、勝手に(という言い方も失礼ですが)仕事依頼が舞い込んでくることにもつながります。筆者も人のことは言えませんが、こういう取り組み、サボったらダメですね。

ソーシャルメディアもガンガン活用しましょう!

長谷川氏は学生時代に同人誌を作ろうとして、名刺を作ったそうです。

「公沁舎という名刺を作り、出版社の受賞パーティーに行って『学生向けのミニコミを作っています』と話し、ご飯を食べて取材するというのをやっていました。そういう気概を持って真摯にやることです」(長谷川氏)

また、長谷川氏は講演の冒頭で質疑応答のための質問をTwitter経由で募っていましたが、このように「ソーシャルメディアをどんどん活用してほしい」と語ります。

「ソーシャルメディアに慣れるとか、“肌感”を持つのは大事だと思っています。Twitterのリプライで質問を受けるスタイルがいいのは、140文字にまとめてパッと聞くということです。(短いセンテンスにまとめるのは)インタビューでも重要です」

NAVERまとめを使うというのもそうですが、まさにWebネイティブ世代だからこその考え方ですね。筆者はFacebookやFacebookページを活用しているものの、Twitterに関しては「使いあぐねている」のが現状。しかし、日本ではかなり多くのユーザーがTwitterを情報ツールとして、コミュニケーションツールとして使いこなしています。そういった状況を肌感として捉えるためには、そこに入り込むことは重要です。好奇心を持って取り組んでいかないと先は見えてこない。そんなことも考えさせられる講演でした。