高島曜介、岡本玄
2016年12月4日08時26分
原爆ドームと厳島神社が7日、世界遺産登録から20年を迎えるのを記念し、広島市などが多彩なイベントを企画している。節目の年に観光客を招き、価値を見つめ直してもらう狙いだが慰霊の地を観光地化することに疑問の声も上がる。「観光」と「慰霊」の両立のあり方が改めて問われている。
原爆ドーム周辺では「平和の光・イルミネーション」と銘打ち、7日から来年2月5日まで、木々に青色LEDライト約5万球を取り付けたイルミネーションを点灯する。市は「優しく語りかけるような光の演出で平和のメッセージを世界に届ける」としている。
原爆ドームは、登録10年の時も照明を増設。原爆死没者慰霊碑と広島平和記念資料館を結ぶ通路にろうそくを並べた。資料館などで「原子力平和利用博覧会」が開かれた1956年5月には、原爆ドーム自体に電球を飾り、ライトアップしたこともあった。
だが、県原爆被害者団体協議会(佐久間邦彦理事長)には今回、原爆ドームを「観光地」として発信することに、疑問の声が寄せられた。市に内容を確認したところ、「鎮魂の場にふさわしい明かりにした」と説明を受けたという。
佐久間理事長(72)は「歓迎…
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朝日新聞社会部