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炎上DeNA、粗悪メディアにとどまらない危機

東洋経済オンライン 12/4(日) 6:00配信

 「(他サイトから文言転用を推奨していた点について)私自身、モラルに反していないという考えを持つことができませんでした」。上場企業のトップ、しかもプロ野球球団を運営する企業がこのような認識でネットメディアを展開していたとは、驚きを通り越して呆れるほかない。

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 12月1日、ディー・エヌ・エー(DeNA)は、自社で運営する9つのメディアにおいて内容が正確でない記事や無断転用があったことから、全記事を非公開化したと発表。守安功社長は事態を謝罪するとともに、上記のように自らの認識を説明した。守安社長は自身の報酬の30%を6カ月減額することも発表している。

 DeNAにとってキュレーション事業は、社内でも期待度の高い事業だった。それがなぜ大きくつまずいてしまったのだろうか。

■社内でも期待の新事業だった…

 非公開化したのは「キュレーションメディア」と呼ばれるジャンルのもの。ネット上のコンテンツをテーマごとにまとめ、配信するメディアのことだ。記事を執筆するのは「キュレーター」と呼ばれるライターで、会員登録さえ行えば自由にまとめ記事を作成できる。

 キュレーション事業に期待がかかっていた裏には、既存事業の落ち込みがある。モバイル向けゲームプラットフォーム「モバゲー」で急成長を遂げた同社だが、スマホ時代になり、ゲームメーカーがアップルやグーグルを通じて配信するようになると、モバゲー事業は右肩下がりに縮小。ゲームプラットフォーム事業の営業利益は2013年3月期の768億円から、2016年3月期には200億円を割るまでに落ち込んだ。

 これを補うべく推進したのが新事業による多角化だ。遺伝子検査サービスやカーシェアリングサービス、自動運転などの分野へ次々に進出していった。キュレーション事業もそうした新規事業の一つだ。2014年に家具・インテリア関連サイト「iemo」を運営するiemoと女性向けファッションサイト「MERY」を運営するペロリの2社を計50億円で買収したことを機に参入。翌年には旅行サイト「Find Travel」も買収している。

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最終更新:12/4(日) 8:05

東洋経済オンライン