理化学研究所計算科学研究機構(神戸市中央区)や神戸大などの研究グループは2日、スーパーコンピューター「京(けい)」(同)を動かすために必要な複雑なプログラムが、短い数式を入力するだけで自動生成される手法を開発した、と発表した。数式に当たる約20行の指令から、3万行以上のプログラム作成に成功し、シミュレーション(模擬実験)研究の加速が期待できる。
世界最高水準の性能を持つ京では、高精度なシミュレーションが可能だが、その能力を引き出すには複雑なプログラムが必要で、時に数十万行にも及ぶ。
グループは、このプログラム作成を自動化するスパコン用の言語を開発。試しに地下での菌類の生態を、自動生成したプログラムから解析することに成功した。気象予測や地震の揺れ、星の誕生など、対象の範囲を格子状に区切った計算に活用できるという。
グループの村主崇行(むらぬしたかゆき)・同機構特別研究員は「例えるなら、文庫本を1冊書く労力が、はがき1枚で済む。計算科学の専門家以外も参入しやすくなるのではないか」と話す。(武藤邦生)