【社説】「空白の7時間」捜査、朴大統領のプライバシー以外は公開せよ

 崔順実(チェ・スンシル)事件を捜査する朴英洙(パク・ヨンス)特別検察官は2日、いわゆる「セウォル号の空白の7時間」「大統領府薬物搬入疑惑」なども捜査対象にすると語った。韓国国民が疑っている部分は、全て一から再度調べてみたいというのだ。国政介入事件の本質は、崔順実被告の一味が国家システムをじゅうりんし、企業からカネを脅し取り、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領がこれに加担・庇護・ほう助したかどうかというところにある。

 しかし世間では、この本質から外れ、大統領個人に関するあらゆる疑惑が広まっている。セウォル号が沈んでいく時間帯に大統領府でシャーマニズムの儀式が行われていたとか、大統領が何らかの施術を受けていたらしいという話が、相反する内容にもかかわらず、まるで2つの真実であるかのように人々の口に上っているのが実情だ。野党の国会議員までもが、事実と疑惑をごちゃまぜにして「そうでなければよいが」という形で暴露を行っている。この問題は、崔順実事件とは直接関連はないのに、特検が真偽を調べなければならないほどにうわさが広がっている。

 朴大統領が、主治医や医務室といった公式のシステムを外れ、崔順実被告を通して外部の医療陣に依存していたことはある程度判明している。もし警護法など実定法に違反する点が確認されたなら、処罰もすべきだ。しかし、全ての人がそうであるように、朴大統領にもプライバシーがある。事件の本質と関係ない非難や攻撃はやりすぎだ。

 朴英洙特別検察官が、こうしたことまで捜査したいと言っているのは、一般的なケースであれば無理な話だ。しかし現在の状況では、避けられない一面もある。真実と虚偽を判別するのは、韓国国民はもちろん、朴大統領自身のためにも必要だ。捜査の後、事件の本質とは関係ないプライバシーに当たる部分を取り除いた真相を公開すればいい。

 朴特別検察官は、金淇春(キム・ギチュン)前大統領府秘書室長、禹柄宇(ウ・ビョンウ)前民政首席はもちろん、金秀南(キム・スナム)検察総長も捜査対象になり得ると語った。金総長は、ソウル地検の長を務めていた2014年末、大統領の「陰の実力者」疑惑が最初に持ち上がったとき、きちんと捜査したかどうかが問題になっている。当時、原則通りにしていれば、今のこの事態を事前に防ぐこともできた。金淇春・禹柄宇両人が崔順実被告を庇護・ほう助したのかどうかも、当然ながら明らかにされるべきだ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース