THAAD:報復で「韓流」「韓国製品」に圧力加える中国

 最近ではロッテグループに対する全方位的な調査が始まり、サムスンSDIやLG化学など韓国の電気自動車バッテリーメーカーには対応が難しい、新しい生産能力認定基準も作られる予定だ。韓国貿易協会によると、今年1月から9月までの中国における韓国製食品・化粧品通関不許可件数は148件で、昨年の合計件数(130件)をすでに上回るなど、非関税障壁も高くなっている。

 芸能分野にも限韓令が及んでいる。「韓流スターのドラマ・バラエティー番組出演や中国公演を制限し、韓国製品のテレビ広告も禁止する」という限韓令がその代表的な例だ。公式文書ではなく口頭で指示を下し、不満が出ると「我々は知らない」ととぼける。業界では、中国政府が世界貿易機関(WTO)や自由貿易協定(FTA)などを意識し、中国企業を背後で操って韓流に圧力を加えていると見ている。しかし、ロッテに対する調査やホームショッピング・電子商取引に対する限韓令の事例を見ると、もうこれ以上、隠すつもりはないというような態度にも見える。

 中国政府は、こうした措置の発端がTHAAD配備にあると見られてもかまわないと判断したようだ。物証がないため否定すればそれまでだし、報道されたとしても韓国の株式市場が乱高下して経済的被害を懸念する声が増え、韓国国内の反THAAD世論が高まる効果が期待できるということだ。

 中国の韓国バッシングは自国産業育成という国家戦略とも一致する。北京の外交消息筋は「ドラマ・バラエティー分野で30%程度だった中国側制作の番組の割合は、最近70%に上昇した。限韓令は韓流の影響力を引き下げようという中国国内の流れを反映したもの」と語った。習近平国家主席が先月30日、中国の映画・演劇・音楽など芸能分野従事者3300人を呼び、「中華文化に自信を持って創造性のある作品を作れ」と激励したのも同じ流れによるものだ。

 韓国政府は2日、「韓中通商関係点検会議」を開き、韓国企業に対する中国のさまざまな規制に対処するため、関係部処(省庁に相当)にタスクフォース(TF)を発足させることにした。産業通商資源部(省に相当)のオ・テヒ次官は「国際規範に反する措置はWTOと韓中FTAの規定を活用して積極対応していく」と述べた。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員 , 金承範(キム・スンボム)記者
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