【社説】THHAD憎しで韓国企業に報復する「大国」中国

 中国政府が、北京などに進出したロッテグループ系列企業の売り場や生産施設に対して、税務調査と消防・衛生・安全検査を同時に行っている。中国に進出したおよそ150の事業場のうち、既におよそ50カ所で調査が行われた。上海のロッテ中国本部は設立以来最大規模の税務調査を、成都のロッテデパートは省レベルの消防点検を受けた。どれも前例のないことだ。

 韓国政府や業界では、ロッテに対する中国の調査を「慶尚北道星州にあるロッテのゴルフ場が高高度防衛ミサイル(THAAD)の敷地に確定したことに対する報復」と分析している。ロッテは、韓国政府の決定に従い、ゴルフ場を軍用地と取り換えることにしただけだ。これに先立ち中国は、韓国の芸能人の活動を規制する「限韓令」を下し、貿易上の非関税障壁も高くしている。中国の輸入市場でシェア1位の韓国産化学製品「ポリアセタール」に対するアンチダンピング調査も始まった。両国政府間の外交問題をめぐって、政府機関でもなく、対応手段もない私企業に報復するというのは、大国の行為というには成熟していない、感情的なやり方だ。卑劣という印象すら与える。中国政府のこうした行動を、国際社会は全て見守っている。いつか、中国市場の力が落ちた時、全てブーメランとして返ってくるだろう。

 THAADは、北朝鮮の核を防ぐための「窮余の策」だ。韓国政府は「北朝鮮の核の脅威が消えればTHAADを配備する理由もない」という立場を鮮明にしている。韓国が中国を脅す理由はない。中国が今やるべきなのは、韓国企業に対する妨害のような姑息なことではなく、北朝鮮の核問題を解決することだ。中国側の今回の調査は、国連の北朝鮮制裁決議案の採択と前後して行われている。果たして中国は北朝鮮制裁を履行する気があるのか、見守る必要がある。

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