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「まくら」営業、はじめました。

営業職の男です。「まくら」を極めて営業のタツジンになりたいのです。

女性の門をたたく

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この画像をみて、あなたは何を感じますか?
















本当に新しいことを発見したいなら、別の場所に行くことではなく、新しい目を持つことだ。

マルセル・プルースト

 

美しさは女性の「武器」であり、装いは「知恵」であり、謙虚さは「エレガント」である。

ココ・シャネル

 

人は女に生まれない。女になるのだ。

シモーヌ・ド・ボーヴォワール

 

 

 

 

 

 

 

 

月曜日。

 

 

ビリリリリリリィ

 

 

「あーい!!!」

 

 

 

足首に貼ったシップをはがす。

 

 

 

運動した後にシップを貼ることがある。ひどい痛みを感じるときには朝にシップを貼り、会社から帰って風呂に入る前などにシップをはがす。シップが効いているのかはわからないが、これまで大きなけがもなく運動することができている。

 

 

 

……ただこのシップが悩みの種となっていた。これは、男特有の悩みといってよいだろう。すなわち

 

 

すね毛

 

 

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である。

 

シップをはがすと、大量のすね毛が抜ける。すね毛は毛根と大変仲が良いらしく、引き離される際に猛烈に抵抗する。抵抗されればされるほど、激痛が生じる。

 

 

私にとって、シップはがす作業は非常に苦痛となっていた。

 

「罰ゲームだよ、コレ。というか、こんなに毛を抜いてたらかえって体に悪いんじゃないの?」

 

と、はがしたシップに張り付いたすね毛を見て思う。

 

 

――

 

 

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シップをはがした後、風呂場に向かうのが日常。普段はシャワーで軽く流すだけだが、最近はめっきり寒くなったので湯船につかっている。

 

 

さて、湯船につかりながら、じっと己の足を眺める。

 

「……」

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「……」

 

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「……」

 

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「……やってみる……か?」

 

 

決して人の眼を気にしたわけではない。シップをはがしたときに痛みを感じないため、という、実利的な面を考慮し、すね毛がない方が良いと思ったのである。

 

 

――私は、洗面台にあるアレを手に取った。

 

 

 

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「お、おお、おおおおお、お?……おおおおお――ああああ、あ!……」

 

 

この作業は18禁なので、日記に詳細を記すことは差し控えたい。なお、日記が男臭くなるのを避けるために、かわいらしい画像を載せておく。

 

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――

 

約20分。

 

「できたぜよ」

 

すね毛との決別終了。あ、せっかくなので、すね毛だけでなく、両足にある毛という毛をすべてそり落とす。(トーテムポールを守る熱帯雨林はそのまま保護した)

 

風呂場で足を洗い流す。そして、湯船につかりながら、両足を上げてみる。

 

「……ん?」

 

 

 

 

自分で自分の足を撫でてみる。

 

 

「この感じ……」

 

 

 

 

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私は、自分が女性になったことを理解した。(ahoo!)

 

 

興奮冷めやらぬまま、私は急いで風呂を出る。そして、下着をつけてスタンドミラーの前に立つ。ちょうど、下半身だけが映るように。

 

 

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「……なんか違うな」

 

いろいろと思うがままにポーズを決めてみるが、なにかが違う。毛がないという点では同じはずなのに、どうも期待するような女性的な色気を感じることができない。

 

 

……なんというか、無駄にゴツゴツしていて、無駄に太い。風呂に入っていた時は、どうやら少しのぼせていたようだ。やはり、男と女は本質的に違うようである。

 

 

 

 

 ーー

 

 

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風呂上がり後、ゴロゴロとテレビを見る。

 

 

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この時期特有の長時間歌番組。 アイドルグループのメドレーで大量の女の子が画面に映る。

 

「一人くらいテレビの外に出てきてもおかしくなさそうだなあ(笑)……ん?」

 

 

私はテレビにくぎ付け。

 

「……うーむ。うんうん」

 

 

彼女たちの歌が終わりCMになる。

 

 

私はチャンネルを変えた。そして、なんでもいいから

 

肌を出した女性

 

を探した。

 

 

 

 ちょうど、旅番組がやっていた。

 

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この時間帯の旅番組。時代を駆けるアイドルとは違い、少し落ち着いてテレビ出演も減っている女優の入浴シーン。

 

「……うーむ。いいと思う」

 

 

入浴シーンが終わると、私はチャンネルを変える。そして、通販番組を見る。

 

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四六時中やっているダイエット系サプリメントの通販。通販の商品には興味がない。私が興味があるのは、女性の姿である。

 

「……いいねえ。いいよいいよ」

 

 

私はテレビをつけたまま、ネットで画像検索。そして、肌があらわになった女性の画像をじっとみる。

 

 

 

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 「……すごくきれい」

 

 

思わずため息が漏れる。実に不思議な感覚。

 

 

 

 

 

――とどのつまり、

 

 

自分の女性の見方がハッキリと変化した感覚

 

なのである。彼女たちの肌を見ながら

 

いやらしさ

 

ではなく

 

美しさ

 

を感じたのである。

 

 

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日々の多忙な仕事の中、彼女たちは人に見られることを意識し、ムダ毛の処理に多くの労力を費やしているである。いや、ムダ毛処理だけではない。服装に気を使い、化粧に気を使い、しぐさに気を使い、趣味に気を使っている。

 

自分以外の人間に『美しい女性』、もしくは『かわいらしい女の子』映るためのたしなみ

 

そんな努力を理解しようとしたことがこれまであっただろうか?いや、なかったと断言してもよい。むしろ、そんな努力をしているなんて見たくもなかった。女性はすね毛なんて生えないし、自然と美しい容姿になっていくものだと思いたかった。

 

――ただ、すね毛をそるという行動を通じ、女性たちの努力の一端に初めて触れたとき、女性の肌が

 

芸術としての美しさ

 

に見えたのである。

 

 

……もっと女性を理解したい。もちろん、男という属性を一斉投げ捨てた眼で。

 

何か開眼した気分。下手にフェミニストから説法を受けたり、寺にこもったりするよりも、いっそすね毛をそったほうがよっぽど女性心を理解するのに役立つんじゃないかしら?なんて思ったのでした。ようやく思春期を卒業したようですね。(あ、小生、もうすぐ30歳でちゅ)

 

 

 

―― 嗚呼、なんだか無性に女性誌が読みたくなってきたわ。

 

 

 

 

 

 

――

 

 

後日談。

 

 

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また風邪を引いた。

 

 

先月に引いたばかりなのに。最近仕事が忙しかったせいか?お酒を飲みすぎたせいか?

 ……それとも、足の毛をそったせい……?

 

 

少なくとも、下半身は非常に涼しい昨今でした。

 

 

 以上、風邪ウイルスが頭まで回った日記でした。