東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

<ストップ プール事故> 水泳専門家に聞く飛び込み指導の是非

シドニー五輪銅メダリストの源純夏さん

写真

 水深の浅い学校プールに子どもが飛び込んで重傷事故が多発している問題で、本紙発言欄には高校の授業で飛び込みを禁止するよう訴える内容や、細心の注意を払って指導を行うよう提言する投稿が寄せられ、安全対策を求める声が高まっている。繰り返される事故をどう防ぐべきか。水泳の専門家たちの意見を聞いた。 (細川暁子)

 今月一日の発言欄には、「飛び込み危険 高校も禁止に」と題した投稿が掲載された。小中学校同様に、高校の授業でも飛び込みを禁止するよう求める内容だ。七日には、生徒の能力を教師が見極めた上で、事故なく子どもたちに飛び込みを身につけさせるよう求める投稿「飛び込み指導 細心の配慮を」も掲載された。

 学校プール飛び込み事故を巡っては、都立高校で七月、授業で水深一・一メートルのプールに飛び込んだ高三男子が底に頭を打って首を骨折。昨年七月には、長野県の高三男子が授業中に水面からの高さ六十センチのスタート台から、水深一・三メートルのプールに飛び込んで首を骨折した。

 事故を重くみた長野県教委は高校の授業と部活での飛び込みを原則禁止にした。大会出場のために水泳部で練習が必要な場合は、日本水泳連盟の水深基準を満たした高校のプールを使うよう求めているが、プールのある約八十校で基準に合うのは数校だという。

プールの飛び込みについて本紙発言欄に寄せられた投稿

写真

 各地で相次ぐ重大事故。専門家はどうみるのか。「私でも、一メートルちょっとの水深には怖くて飛び込まない。教師だって、自信を持って飛び込めないのではないか。授業ではむしろ、浅いところに頭から飛び込んではいけないと生徒たちに教えるべきです」。そう話すのは、二〇〇〇年のシドニー五輪女子四百メートルリレーで銅メダルを獲得した源純夏さん(37)=徳島市=だ。

 「飛び込みは少しでも早く遠くに到達するために行うもの。でも高校の授業は大会とは違ってタイムを競う必要はない。飛び込み練習は不要」と言う。

 源さんは地元で水難救助の「ライフセービング」を普及しており、溺れた時に服を着たままあおむけに浮いて助けを待つ方法を「ウイテマテ」の合言葉とともに子どもたちに教えている。高校の水泳授業も、水難事故に備えるための安全教育を主目的にするべきだと強調。「水に慣れ親しむために足からプールに飛び込んだ後で、水中からのスタート練習をしてはどうか」と提案する。

 日本スポーツ振興センター(JSC)のスポーツ事故防止対策協議会委員を務める東京大教育学部付属中等教育学校(東京都中野区)の井口成明教諭(54)も「高校の授業で飛び込みを禁止するべきだ」と言う。井口教諭は「水泳の授業は体力向上や水に親しむことが目的。水深の浅い学校プールで飛び込みを行うのはリスクが高すぎる」と話す。

 

この記事を印刷する

PR情報