石油輸出国機構(OPEC)が8年ぶりに原油の減産に合意した。この2年間…
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石油輸出国機構(OPEC)が8年ぶりに原油の減産に合意した。この2年間で大幅に値下がりした原油価格を押し上げる狙いがある。
OPECに加盟していないロシアなども一定の協調をする見通しだ。合意通りに減産が実行されるかどうか、不透明さは残るが、直後の市場は値上がりで反応した。
産油国には、原油相場の低迷による財政難という、背に腹は替えられない事情があった。そんな状況のなかで、OPECが久々に存在感を示した格好だ。
だが、かつてオイルショックを起こしたような影響力はもはやなく、価格をコントロールする力は限られるだろう。原油価格がさらに上がれば、米国でシェールオイルの生産が増えると見込まれるからだ。トランプ米次期大統領がシェールオイルの採掘規制を緩めることを公約しており、そうした見方を後押ししている。
今回の減産合意を受け、市場では原油だけでなく株価なども上昇基調にある。産油国の経済の好転や、市況の安定で投資しやすい環境になることへの期待からだ。世界経済にとって好ましい循環が続けば、日本にもプラスに働くだろう。
とはいえ、日本経済はエネルギーの4割を石油に頼り、そのほぼ全量を輸入している。ガソリン価格に表れる通り、原油の値上がりそのものは基本的にはマイナス要因だ。今のところ大幅な価格上昇を予想する声は少なく、慌てる必要はないが、それでも冷静、着実に石油への依存を減らしていく必要がある。
もちろん、石油を代替するのなら何でも良いわけではない。原子力発電は、東日本大震災に伴う福島第一原発事故が改めて示した通り、安全性や廃棄物処理で大きな問題を抱えている。石炭火力は二酸化炭素の排出を増やすという課題がある。
当面、石油の代替として期待される液化天然ガス(LNG)については、調達価格を下げる努力が大切だ。中長期的には、風力や太陽光発電といった再生可能エネルギーを柱にしていく取り組みも欠かせない。
忘れてならないのは、エネルギー消費を抑えることだ。大震災後に節電が定着したが、まだまだ工夫できる。機器や送配電システムをネットで結び、効率的に制御する技術などの開発・普及を急ぐ必要がある。石油消費の多くを占める自動車も、燃費向上の余地はある。
様々に手を打ち、原油価格の変動にふりまわされない経済・社会を作っていきたい。
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