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 過労死問題にかかわる弁護士や遺族らが、働く人の身を守るルールを高校生らに学んでもらう「出前授業」で教えている。電通の過労自殺事件などが報じられ、生徒や学校も身近な問題として関心を寄せる。

 「バレンタインの日の朝、夫にチョコレートを渡し、元気のない姿を見送ったのが最後でした」

 11月半ば、大阪府吹田市の関西大学第一高校。全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑(えみ)子さん(67)が、20年前に夫(当時49)を亡くした経緯を話し始めると、聴いていた3年生約380人は静まりかえった。

 京都市内の外食チェーンの店長だった夫は責任感が強く、「忙しさが腕を育ててくれる」と話していた。達成困難なノルマを課され、年4千時間もの長時間労働とパワハラの末、投身自殺した。「遺族は生きているときに救えなかった自責の念をずっと持ち続け、取り返しがつきません。社会に出る前に正しい知識を身につけ、おかしな働き方には声を上げて」と訴えた。

 その後、2人の弁護士が「ブラック企業あるある」と題して漫画を交えて解説。「ノルマがクリアできていないから残業代を払わない。そんな会社の主張が違法だと思う人は手を挙げて」などと問いかけながら、ブラック企業の働かせ方、労働組合の役割や労働時間のルールを説明した。

 身近な問題と受け止めた高校生もいた。

 将来電通で働きたいと思ってい…

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