先日某所で就労を目指す精神障害者向けに就労セミナーが開催されました。ぼくはそのセミナーにシンポジストとして参加して体験談を語ってきました。(シンポジストは3人)
このセミナーは、
- 自己紹介
- 現在の仕事に就くまで
- 現在の仕事に就いてから
という流れで進みました。
もしかしたらだれかの参考になるかもしれないのでセミナーで発言した内容などをこのブログにも書いておくことにしました。精神障害を持っているけど社会に出たい、でもどうしたらいいかわからないというひとなどの参考になればうれしいです。もちろん精神障害といってもいろんなひとがいてひとそれぞれ困ってる内容は違います。実際、このセミナーのシンポジストはみんな違う病名でした。ぼくは社交不安障害で鬱病、他の二人はアルコール依存症と統合失調症でした。
自己紹介
まず名前を言いました。
つぎに勤めている会社の名前を言いました。
つぎに業務内容を言いました。特定されるおそれがあるのでここでは詳しくは書けませんが、要するに電話応対のない事務職です。
つぎに勤務時間を言いました。ぼくは火、水、木、金の週4日、1日6.5時間で週26時間働いています。ほかのふたりですが、ひとりは週5日毎日8時間働いているようで、もうひとりは20時間程度ということでした。
最後に「最近うれしかったこと」を教えて欲しいということなので、エックハルトの本を買った件について言いました。8000円の本を5冊買ったというと、会場がちょっとどよめいていました。
第一部 現在の仕事に就くまで
第一部は「現在の仕事に就くまで」でした。
三つのテーマについて語りました。すなわち
- 最初の相談機関に行ったきっかけ
- 就労に向けた準備
- 仕事に就くにあたって気になったこと、なぜ頑張ろうと思ったか
です。
それではひとつずつ見ていきます。
最初の相談機関に行ったきっかけ
話すと長くなるのでセミナーではかなり簡潔に話したんですが、言えなかったこともあるので、ここでは少しだけ詳しく書いてみたいと思います。自分語りなのであまり読む価値はありませんが。
まずなぜぼくが精神障害者になったのかがわからないとどうしようもないので、セミナーでは「小中学生のころちょっと容姿をネタにしたいじめみたいなものがあって」みたいな話を軽くしました。
ぼくは幼稚園の年長のときに東京に引っ越してきまして、社宅に住んでいました。気づいたときには社宅の男の子供たちにいじめられていました。なんでいじめられていたのかはわかりませんが、まあなんか気に入らなかったのでしょう。標的にされやすい人間だったのでしょう。とにかく人生のはじめの段階でぼくはいじめられる側でした。なんかもうこの時点で生きる気力が萎えています。
あと小学3年のころ、父に食事の仕方が汚いと言ったことによって、半殺しにされた経験があります。それ以来父親はぼくにとって恐ろしい存在で、いまでも怖いです。かれはちょっとしたどうでもいいことですぐに声を荒げるのですが、ぼくは彼が怒鳴るたびに生命の危機を感じてパニックになります。あのとき母が止めに来なかったらぼくは死んでいたんじゃないかと思います。割と重い喘息も持っていたので、殴られて怖くてパニックになっていくなかで呼吸困難になり、ほんとに死ぬかと思いました。あのときの父の恐ろしい顔、近づいてくるときの圧力、たぶん一生覚えてるでしょうね。
小学生3年くらいになると、クラスでのぼくのあだ名が「変顔」になりました。仲良い友達がみんながぼくのことを「変顔」と呼んできました。それから中学生になっても「気持ち悪い顔だ」とか「変な顔だ」などといろんなひとに言われ続けました。結局こんなことは中学3年まで続きました。でもべつにぼくはそのときはそんなに気にしてなかったんです。「ああ、変な顔なんだなあ、がっかりだわ、悲しいわ」くらいの感じです。
ただずっと心に引っかかるものはあって、高校のとき友達に長文メールで相談しました。そしたらなんか「お、おう……」みたいな反応でがっかりしました。なぐさめてほしかったわけではないんですよ。ぼくはほんとにどうしたらいいのかわからなかったから相談したのです。生まれてきた時点で気持ち悪い顔で今後どうやっても他人に認めてもらえそうもない、それでも人間として生きていくなら社会というものがあって、どうしても他人とのコミュニケーションは必要になる。でもぼくは生きているだけで罵倒の対象なわけで、自分の努力だけではどうしようもない。さあどうしたらいいのだろう? 結局答えは出ません。やっぱり「お、おう……」ですよ。
大学に入るとバイトを探すことになりました。が、やっぱりうまくいきません。バイトの面接落ちまくりました。そしてしばらくしてバイトを探すこともしなくなりました。面接がぼくにはハードルが高すぎました。他人にじっと顔を見られる苦痛が耐え難かったです。ぼくはなるべくひとと会わないように食料品などの買い物は26時くらいに行くことが多かったです。平日の朝、鏡の前でああでもないこうでもないと髪をいじってみたり、顔が気に入らないとシャンプーしてまた一からやり直したり、外に出るのも結構大変でした。
本格的に精神科に通院するようになったのは大学卒業して2年引きこもってからですが、一応在学中も精神科には行ってみました。でもまったく意味がないなと思ってすぐに自己中断しました。そのころは自立支援使ってなかったので、1回の3分診察に1500円取られるんですよね。アホか! と思ってすぐやめました。
その後大学を卒業しますが、新卒時に受けた会社は3社だけで、それでもうぼくは自分の限界を感じました。複数の人間にある程度離れた場所から自分の顔をじっと見られるという状況が耐え難かったです。しかも自己アピールしなければなりません。要するに他人に自分の価値を認めさせなければならないわけです。これが本当に苦痛でした。ぼくは自分にはまったく完全に価値がないと思ってそれまで生きてきて、どれくらい価値がないかといったら、生まれた瞬間に今の顔だったという時点ですでに価値がないので、その後の努力でどうなろうが価値がないんです。自分自身がまったく価値のない人間であるということは小中学生時代に罵倒されつづけた経験からまったく完全にぼくの心の底に根付いてしまっていて、それをどうすることもできませんでした。他人に自分の価値を認めさせるだなんて、ぼくにとっては完全に理解を超えた世界のことでした。ぼくがぼくであるということによってぼくは無価値であるのに、そのぼくがどうやって他人に価値を認めてもらえばいいんだろう。ぼくはそこに存在するだけで嘲笑の対象なのに。どうしたらいいかわからなかったです。この難問を解くのはぼくには無理でした。
卒業後就職活動をしないで引きこもっていると、あるとき父がぼくの部屋に怒鳴り込んできました。あの怖い父が。でもまあ彼の気持ちはわかります、というか親として当然です。ただ、そのときぼくが過呼吸になって倒れ、体が硬直して手の関節が異常な曲がり方をするのを見て、父も何かを察したのでしょう、それ以降あまり怒鳴ったりしなくなりました。
こうして幸福な引きこもり生活が始まったのですが、それも2年で終わりました。死にたい気持ちが強くなりすぎてパニックになって椅子から転げ落ちました。母が精神科の予約を取って、ぼくを病院に行かせました。
引きこもっているとき、だれが結婚したとか、そういう情報を見るとかなり絶望が深くなりました。ぼくもひとと同じように生きたい。そう思いました。でもぼくは他人に自分の顔を見られたくないんです。他人に自分の顔を見られたくないなら仕事だって無理だし、当然恋愛して結婚するなどということも不可能です。顔が見られたくない、だから仕事ができない、面接にも行けない、だったらこの顔で生まれてきた時点ですべて終わってたんじゃないか。なんでこんな人生なんだ、悔しい、悲しい、幸せになりたい、などいろいろ思いました。
ぼくは小学生以来つねに死にたかったですが、怖くて死ねませんでした。死については小学生のころからかなり考えてきました。死ぬことをではなくて、死そのものについてです。
でも結局いま生きてるんですよね。この人生でなんとかやっていくしかない。というわけで、学生時代は自己中断した精神科の通院も半信半疑で続けることにしました。それと同時にカウンセリングもやり、区役所にも今後のことについて相談に行きました。
投薬治療とカウンセリング、区役所で支援機関の紹介など、いろいろなことが始まりました。でもぼくは希望なんて持ってなかったです。顔は手術で変えられるかもしれませんが、顔のことで罵倒され続けた記憶は消えないからです。
就労に向けた準備
就労に向けた準備ですが、ぼくは結局三カ所の支援機関にお世話になりました。特定されるおそれがあるので具体名は出せませんが、ひとつはサポステです。サポステは意味がありませんでしたのでとくに語ることはありません。結局ハロワに行ってくださいで終わりなので、サポステはあまり意味がなかったです。というか障害者の利用はあまり想定していないかもしれません。(サポステというのは若者サポートステーションというやつです。相談無料なので臨床心理士によるちゃんとしたカウンセリングは高くて無理ってひとは利用してみるのもいいかもしれません。一応それなりに就労に向けたプログラムはありました)
最初にお世話になったところは区役所の紹介でした。その支援機関には簡単な就労体験プログラムがあって、半日の清掃アルバイトをやったり二週間程度の仕分けのアルバイトをやったりしました。結局このときのアルバイトも履歴書に書きました。ぼくは職歴なしだったので、こうやってちょっとしたアルバイトを経験して、すこしでも履歴書を埋めるのはいい作戦かもしれません。
そのあとその支援機関からさらに今度は作業所を紹介されました。最初の支援機関は毎日通うようなところではなかったので、就労に向けてやっていくなら作業所に日常的に通所していくのがいいのかもしれないなと思いました。ただ、ぼくはそんなにやる気はなかったです。ただ流されるままにやっていたという感じ。支援機関を利用していても、結局はハローワークで求人を探して応募するという流れになるんですよね。最初の支援機関で履歴書や職務経歴書の書き方だとか模擬面接とか合同面接会とかそういうプログラムはあったんですが、結局面接を突破しなければならないので、就労につながるというイメージがまったく持てなかったです。だから作業所に通っても同じかなあと思いました。でもプログラムが面白そうだったのでやってみることにしました。(手織りをやっていたり、パン作りをやっていたりしました。織りの作品は販売もしました。障害者が作ったものだからという憐れみもあったでしょうが、たまに買ってもらえてうれしかったです。製作時間考えると収入なんてほぼゼロみたいなもんですが、何かを作って売る、そしてそれが売れるんだというのはなんだか新鮮な体験でした)
作業所に通うようになって、朝起きて夜寝るという生活リズムができました。深夜アニメも卒業しました。昼寝をしないようにしました。髪も自分で切るのではなくちゃんと1ヶ月に1度1000円カットに切りに行くようにしました。
作業所の通所と同時にいくつか資格も取りました。日商簿記2級やビジネス実務法務検定2級やTOEICや漢字検定準1級です。ただ、資格はあまり意味はなかったです。障害者枠で働くには能力は求められてません。精神障害者が障害者枠で働くにあたって一番大事なのは長く安定して働けるか、意思疎通がしっかりできるかという基本的なことだと思います。とくに挨拶と他人の名前を覚えることが大事です。ぼくは他人に話しかけるという経験が極度に不足しているので、「話しかけるときには相手の名前を呼ぶ」という当たり前のことが盲点でした。これはぼくについてくれてた女性社員に指摘されて初めて気づきました。
作業所に約2年間通い、ちょうど2年の期限になる直前に今の仕事が決まりました(B型は期限がなかったと思いますが、就労移行は2年が期限になってたはずです)。これはぼくがハロワで選んで応募したやつではなくて、作業所のスタッフさんがハロワで求人票印刷して持ってきてくれたやつです。自分ではいつも同じような条件で検索をしてしまいがちなので、こうやって作業所に通ったりしていると予想外の求人を紹介されることとかあっていいと思いました。
仕事に就くにあたって気になったこと、なぜ頑張ろうと思ったか
仕事に就くにあたって不安だったのは、やっぱり周りのひとに気持ち悪いと思われないだろうかということでした。とくにぼくが不安になるのはメガネをかけている姿を見られるときなので、職場ではコンタクトレンズをするようにしています。少し高いですが、目のことも考えて1dayを使っています。
頑張ろうと思ったのはいまの職場が好条件だったからです。とにかく徒歩5分というのが大きいです。昼休憩の1時間に家に帰ってきてくつろげるというのが最大の魅力でした。あとは電話応対がないこと、女性の多い職場であることなどもぼくにはあっていました。ぼくは美少女にはいつも守ってもらっていたけれど、男たちにバカにされていたので、同年代のちゃらい男や高慢なオタクや体育会系はいまでも苦手なのです。
第二部 現在の仕事に就いてから
二つのテーマについて語りました。すなわち
- 職場環境はどうか
- 休みの日の過ごし方
です。
職場環境はどうか
障害者枠で入社したわけですが、今回のセミナーでぼくは会社に配慮してもらっている点を語りました。
ぼくはトイレに行ってはいけないという状況になるとものすごく緊張してトイレに行きたくなってしまうので、業務時間中に行きたくなったときどうしたらいいかが不安でした。入社のときにそのことを話したら、業務時間中でもいつでもひとこと断って行っていいと言われ安心しました。ですが結局、1時間に1回10分の休憩を入れてもらえることになりました。ぼくは6.5時間勤務の中で10分の休憩を4回入れてもらってます。ほかのひとたち(非障害者枠)は6.5時間の勤務で15分の休憩を2回なので、ぼくはほかのひとより10分多く休憩時間もらってることになります。このことによりかなり気持ちが楽になりました。
また、他のチームのリーダーと話さなければならない苦手な作業があって、最初は1時間だったのですが、それがあるときから2時間に増えました。苦手なリーダーの声を聞くとすごく不安緊張が強くなり、過呼吸気味になってしまいます。上手く話すために、話しかける前に何度も何度も頭の中でシミュレーションを繰り返し、気持ちを落ち着け、勇気を出してさあ話しかけるといった感じでとても疲れました。そしてそれを1時間で12回くらいはやります。2時間だと20回を超えます。なので1時間に戻してもらえないだろうかと同じチームのリーダーに相談しました。そうしたら1時間にしてもらえました。そういうわけで、相談をすると理解してもらえ、対応もしてもらえる環境にあるといえます。
職場環境全体についていうと、女性が多いため割と安心してやれています。男のひともおとなしそうなひとばかりなので、あまり恐怖は感じません。
休みの日の過ごし方
休みの日どう過ごしているかはこのブログ見ればだいたいわかっちゃう感じですが、まあAmazon見たり、2ch見たり、はてな見たり、インターネットラジオ聞いたり、本読んだり、散歩したりです。月曜のお昼はパン屋のパンを食べて明日からまた仕事頑張ろうという感じの気持ちに持って行ってます。また月曜日はいまも隔週で通院しています。
とまあセミナーはこんな感じでした。あと質問コーナーとかあっていろいろ話しましたがあまり覚えていません。
ぼくは結局大学卒業してから就労するまでに6年かかってます。ネット見てると新卒で就職できないともう終わり、空白期間が少しでもあったら詰んでいるなんていろいろ書かれています。まあたしかにそれはそうなんですが、詰んでるなりに生きることもできるってこともまた事実ではあります。
空白期間については、その期間どうしていたかを語ることができればいいわけです。ぼくは面接で素直にありのままを言いました。つまり小中学生時代のいじめ体験から対人恐怖というか視線恐怖があって大学卒業後引きこもっていたが、その後精神科に通院するようになり、投薬治療とカウンセリングを開始、そして作業所に通っていろいろなプログラムを通してコミュニケーション能力を高めつつ、資格の勉強などもしてきた、など。何もしてませんでしたーだと印象は悪いですが、社会復帰に向けて地道に頑張ってきたんだなということが伝わればいいのではないでしょうか。立派なことをいう必要はありません。まあそれでも採用されないことのほうが多いですが……。
どうしたらいいかわからないで困ってる精神障害者に言いたいのは、よく聞く言葉ですけど、「ひとりで悩まないで」ってことですね。引きこもっちゃうひとって自分でなんとかできるなら引きこもってないんですよ。ひとによって原因はちがうけれど、みんなそれぞれ何かとてつもなく難しい問題を抱えていて、そのせいで一歩を踏み出すのに自分の限界を超えるものすごい努力が必要とされているわけです、というか本人はそう感じていてそう信じていて、そのあまりにも高い壁に圧倒されて、何もできないと打ちのめされているんです。
だからひとりにならないほうがいいです。支援機関がいろいろあるのだからそれを利用するべきだと思います。すこしずつできることからやっていけばいいと思います。どうしてもある程度時間はかかるので、のんびりやっていきましょう。
というかぼくも今後どうなるかわからないので、不安だらけです。
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おまけ
ぼくが知っている役に立ちそうな情報をまとめてみます。
地域若者サポートステーション
無料で使える相談機関です。各地にあるので家から近いところを探して行ってみるといいでしょう。まずは電話して予約です。
saposute-net.mhlw.go.jp
ただし、サポステは障害者の利用はあまり想定してないと思います。でも使えないこともないです。カウンセリングは高いので無料で相談したいという場合は使ってみるといいです。あといろいろプログラムがあって、ぼくはボイストレーニングは結構良かったと思いました。プログラムは場所ごとに違うと思うので、とりあえず行ってみないとわからないです。
カウンセリングについて
カウンセリングは高額ですが、個人的にはやったほうがいいと思います。ただ経済的な事情もそれぞれの家庭であるでしょうし、無理のない範囲で、ということになりますが。最初は毎週通ってました。いまは3ヶ月に1回にしてます。最初はふつうのカウンセリングをやってましたが、途中から認知行動療法をやってます。でも最近は3ヶ月の報告という感じでいろいろ話して終わっています。だれかがぼくのことをよく知っていてくれて、話しに行けばわかってくれるというのは結構心強いです。ただ、高額なのが残念です。
カウンセリングは「臨床心理士」にやってもらったほうがいいです。あやしいカウンセラーというのは世の中にたくさんいますが、日本にあるカウンセラー系のトップ資格が臨床心理士です。
臨床心理士にカウンセリングをやってもらうには以下のサイトで探してみるといいです。
www.jsccp.jp
料金が載ってますが、見てわかるようにかなり高額です。ぼくは5000-6000円のところでやってますが、1万円のところもあるみたいですね。料金が高ければいいというわけではないので、通えそうな範囲で良さそうなところを探しましょう。あと臨床心理士も人間なので相性というものがあります。あまりひとりのひとにこだわらないのも重要だと思います。合わないなと思ったらほかのひとを探しましょう。自分が話せるなと思うひとを見つけましょう。ぼくは男が怖いので女性の臨床心理士に話を聞いてもらってます。というか、最初のひとが退職してしまって担当者が変わっているんですが、最初のひとはとても美人で毎週行くのが楽しみでしたw いまの担当者は読書が趣味ということで話が合います。フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』の話ができるひと、というかその存在を知っているひと自体があまりいない気がするので、話してて割と楽しいです。あとなぜかアニメもそこそこわかるみたいな。
障害者雇用率制度について
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)
民間企業の法定雇用率は2.0%です。従業員を50人以上雇用している企業は、身体障害者又は知的障害者を1人以上雇用しなければなりません。
という制度があり、ぼくらが障害者枠で働けるのはこの制度のおかげみたいです。精神障害者も同じように扱われます。精神障害の場合は週30時間以上の勤務で1カウント、20時間以上30時間未満の勤務(短時間)で0.5カウントだったと思います。20時間以上働かないと障害者雇用として企業側にメリットがないので、ぼくらは週20時間以上勤務できるように体力をつけていく必要があります。企業が心配するのはいままで何年も引きこもってた人間が本当に安定して長く週20時間以上働けるのかということです。
書籍の紹介
- 作者: 岩井寛
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1986/08/19
- メディア: 新書
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「あるがまま」を受け入れる――。
がんに冒された筆者が死の直前まで語り綴ることで生まれた
不朽のロングセラー。90年前に日本で創始された心理療法の論理と実践法を
わかりやすく解説。たとえば、苦手な上司と面接しなければならないとき、
自分の構想をよりよく披瀝しようと考える一方で、
あの上司は苦手だからなんとかその場を繕って
逃げていしまいたいという考えも浮かぶ。誰にでもある「逃避欲求」を「あるがまま」にして、
「自己実現欲求」を止揚していこうとするところに、
西欧の精神療法とは異なった森田療法の特殊性がある。
- -
学校での人間関係、会社での問題の対処の仕方、
家族・社会とのかかわり、不安と劣等感、ノイローゼ、対人恐怖……。
本書は、現実的な生活のなかで起こってくる
さまざまな心理的事象に対処するために、
森田正馬が編みだした独自の理論と実践例をわかりやすく紹介し、
心の健康を保つためのヒントを提供、非常に役立つ内容となっている。
- -
【おもな内容】
はじめに――「森田療法」とは何か
1 森田療法の基礎理論
2 神経質(症)のメカニズム
3 神経質(症)の諸症状
4 神経質(症)の治し方
5 日常に生かす森田療法
おわりに――生と死を見つめて
社交不安障害のひとには森田療法がすすめられたりします。ぼくは本を読んで、なんか違うなあという感じがしてやりませんでしたが、ひとによっては効果があるようです。本を読むだけでもいいと思います。そういう考え方があるんだと知っておくだけでも違います。
- 作者: 大野裕
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2003/03/20
- メディア: 単行本
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2010年1月15日 朝日新聞朝刊に「自分で学べる認知行動療法の本」として紹介されています。
本書は一般の人たちが認知療法を使ってストレスフルな人生を自分らしく
幸せに生きていくことができるように工夫されたセルフワークブックである。
コンパクトなつくりで図表やイラストを多用し、分かりやすさに重点を置く。
認知療法を手軽に学びたいと思っている人たちにも役立つハンディで便利な一冊。
簡単に認知行動療法が学べる本です。実際にカウンセリング行ってもほぼこれと同じことをやります。ぼくはこんなの意味あるのかよと思ってやってましたが、まあたしかに数回やっただけじゃ意味がないです。とにかく何度も何度も繰り返しやって自動思考の偏りを修正するという作業をしていきます。すると自分に染み付いた偏った思考の傾向がわかってきて(またこのパターンか、だるいなあとか思いながら書いていくので)、ほんとに徐々にですが、自分が持っている揺るぎない信念(被害妄想的なもの)といったものがだんだんぐらぐらしてきます。
すべてがハッピーというふうに洗脳するのが認知行動療法ではなく、嫌なこともあるけど、それは自分が思っているほど、つまりこの世の終わりだとか、死ななきゃいけないとか、それほどひどいものなのか? たしかにひどいことではあるけど、そこまでひどいわけではなく、まあまあのひどさなのではないか、くらいに思考の偏りをすこし戻してあげます。このちょっとの作業ですこしだけ生きやすくしようというものです。
自分の信念に対して反証集めをするのですが、実際に数字を出してみるという作業が面白かったです。つまりいままでぼくのことを見下してきた人間が何人いて、逆にほめてくれた人間が何人いて、何も評価を下さなかったひとが何人いるかと冷静に見てみるわけです、ちゃんと数値をつけて具体的に客観的に。そうするとぼくは世界中が敵だと思っていたのだけれど、実はそうでもなかったという当たり前の事実に数字という客観的なものを突きつけられるわけです。最初は認めたくありませんでした。世界中はぼくの敵だし、すべてのひとがぼくの顔を見て嘲笑していると思っていたので。(自分では自分の信念を形づくるものの例外は認めたくないので、ひとりで認知行動療法やるのは意外と難しいかもしれません)
でもそれは極端な考え方だったのではないかということです。たしかに小中学生時代ひどいことを言われ続けたりなんやかんや周りの環境が悪く精神はズタズタですが、でもそれと同時に高校以降顔のことで嘲笑されることがなくなったというのも事実ではあります。ぼくにとっての比重は小さいころの体験が圧倒的ですが、それが人生のすべてというわけでもない、そういった当たり前の事実をひとつひとつ確認していきます。もちろん長い年月をかけて形成された信念はそう簡単には崩れません。だから時間はかかります。ぼくはいまでも自分の顔が人間の顔に見えなくて落胆し絶望することがよくあります。でもそれはそれとして仕事には行けているというわけです。一挙に完全に問題を解決しようとするのではなくて、暗黒の底なし沼であったところから日常生活が可能な程度に灰色の凡庸な生活に持っていくということです。
自立支援医療制度
精神科に定期通院するなら自立支援医療制度を利用しましょう。これは精神科とそこで出される薬が1割負担になるという制度です。手帳をもらうには医師に診断書を書いてもらう必要があり、それには2000-3000円程度かかったと思いますが、でも診断書は2年に1回なので恩恵を考えたらここで躊躇してはいけません。
詳細PDF(厚生労働省)↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/dl/03.pdf
1回3分の診察が1500円だったのがぼくは470円になりました。あと、現在低所得ということで、月の上限が2500円でとてもありがたいです(来年からは上限5000円になるかな?)。精神科に通院するなら利用しましょう。みんな使っているので恥ずかしがったりする必要はありません。区役所の障害課(?)で相談してみてください。
精神障害者保健福祉手帳
障害者枠で働くには精神障害者保健福祉手帳が必要です。これはすぐ取得できるというものではなく、初診から6ヶ月以上経過していることが必要です。
バスが無料で乗り放題なんですが、ぼくはバスなんかまったく乗らないので……。あと映画館や美術館などが割引になります。でもそもそも引きこもりだった人間がそんなところ行きますかね……。映画館でアニメ映画とか見てみたいですが、ぼくには無理です。美術館は一度行きました。
あくまで障害者枠で働くのに必要だから取得するといった感じです。ほかにはあまり恩恵はありません。
作業所について
作業所には就労継続支援A型と就労継続支援B型と就労移行支援と三種類あります。ぼくが通っていたところはB型と就労移行をやっていました。
A型は雇用契約を結んで普通に働きます。最低賃金が出ます。ただし一般企業就労と同じように面接などがあります。
B型は雇用契約を結ばずに内職みたいなことをやります。面接の合否などはなく、定員に達していなければだれでも入れると思います(障害者手帳と利用証が必要)。クレヨンに紙を巻いて完成品にしたり、大きな布を一定の大きさに切ったり、ほんとに様々な仕事があります。ぼくもすこし体験しました。工賃といった形で一応お金は出ますが、時給100-200円といった感じです。一般企業で就労できず障害基礎年金をもらっている中等度から重度の障害者向けだと思います。ぼくの通っていた作業所ではB型のほうは知的障害のひとたちがたくさん働いていました。
就労移行は文字通り就労を目指して訓練していくというものです。精神障害のひとと軽度の知的障害のひとの利用が多いです。
以下の資料をどうぞ(厚生労働省PDF)。一般企業での就労を目指すなら就労移行がいいみたいですね。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000091254.pdf
おわりに
ひとによって病状は違うので、ひとそれぞれの歩み方があると思います。「こうじゃなきゃいけない」という思い込みからまずは自分を解放してやって、やれることをやっていきましょう。