21歳の時に付き合っていた彼女はとにかくよく屁をこく女でした。
普段から笑った拍子や何気ない動作の度にブーブーと間抜けな音をケツから鳴らすのですが、特に酷いのは寝ている時で横になっているからかなんなのか肛門が緩むらしくそりゃあもう色んな音を奏でます。
「プッ」
「プゥーッ」
まだかわいい
「ブッ」
「ブーーッ」
濁音から半濁音へとどんどん変化してくる。
「ブゥーオゥ」
「バフンッ!」
バイソンかなんかの鳴き声みたくなり、
「ヌーンヌッ」
最終的に落ち着く。
そんな七色の屁を自在に操る女ことヴァージアハピ・元カノですが、これはまだマシなほう。スヤスヤと寝息を立て、時おり愉快な音色を聴かせてくれる彼女のとてもユニークなところに俺は惹かれたのだから。
しかし、問題は「音のない屁」のほうで皆さんご存じの通り、音の鳴らない屁というのは時にとてつもない臭いを放ちます。特に食後の音のない屁なんかはまさに毒ガス。M・H・5。犬なら一発でお陀仏するレベルです。
それだけならまだしも、音のない屁をこくときに限って「いや、してないよ」と子供のようなウソをつくのです。彼女は顔に出やすいタイプなので一発でそれがウソかホントかは一発で見抜けるのですが、これはまずい。他人様にこんなくっさいくっさい屁を嗅がせて、しかもウソをつく。こんなことを続けていたら彼女のこれからの人生に支障をきたしてしまう、と懸念した俺がとった苦肉の策は、
「臭いのある屁一回につき、500円玉一枚を貯金箱に入れる」
というものでした。ワンスメル、ワンコイン制度です。
本当はこんな罰金のようなことはしたくなかったのですが、油断すると肛門が開いてしまう彼女にとってはこの制度の効果はテキメンだったようで、常にケツの穴を意識することで屁の回数は劇的に増え、尻をキュッ締めることで心なしかスタイルも良くなっていました。
ワンスメル、ワンコイン制度を導入して1ヶ月が経ったある日、僕達は街でデートをすることに。オシャレなオープンカフェへ入り会話に花を咲かせていると、どこからともなく異臭がするのです。
「あ、もしかしてお前やったな」
「いや、やってない!やってないって!」
「じゃあこの臭いなんだよ」
「違う、私じゃないって」
「あ!またウソついて!はい500円な」
「違うよ、もう〜」
そんなやりとりをしながらふと横の席を見ると、派手な化粧のマダムが連れてた犬がウンコ漏らしてやがった。
「あ〜〜、チコちゃん!何やってるのもう!ごめんなさいね〜オホホホホ」
ば、ババア〜〜〜〜〜!!!!!!
「…」
「ほら、だから言ったじゃん」
「ご、ごめん」
「なんで信じてくれないの?最低」
「ホントにごめん…」
これが原因でギクシャクした俺たちはこのあとすぐに別れることに。もっと俺が彼女を信じてあげていればこんなことにはならなかったのに。屁はこくが、かわいくて、面白い良い女でした。
余談:彼女は僕と付き合ってる時に他の男と浮気をしてたということがわかりました。「火のないところに煙は立たない」ってか、やかましいわ。