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秋田の武士が描いた絵が本当にうまい

「小田野直武と秋田蘭画」展より

2016年12月3日(土)

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サントリー美術館「小田野直武と秋田蘭画」展会場風景(無断転載禁止)

 サントリー美術館で開かれている「小田野直武と秋田蘭画」展の会期が始まる前日に開かれたプレス内覧会でのこと。江戸時代中期の秋田藩士、小田野直武(1749~80年)の絵の一枚をたまたま隣で見ていたある出版社の編集者の口から、こんな言葉が出てきた。

 「うまいですねえ!」

 筆者も共感した。そもそも現代まで残っている絵には「うまい」作品が無数にある。その中で、直武の「うまい」には格別感があった。そこではたと思ったのは、直武の「うまい」とは何だったのだろうかということだ。改めて考えてみた。

 「うまい」という言葉は、美術においてはしばしば、具象画において描いた対象が見た目に近く描かれているときに使われる。逆にたとえば人間の顔で目の位置が左右ちぐはぐだったり、鼻が実物の人間にはありえないほど大きかったりすると、「デッサンが狂っている」などと言われてしまう。

 とはいえ、最近はピカソのように、写実的ではない描写に個性と創造力があることが広く認知されているので、「下手」っぽい絵も直ちに否定されることはない。しかし、実物に似ていると絵がうまいと言われる状況には、それほど変わりはない。直武の絵に、その「うまさ」があるのは大方の人が認めるだろう。

 有名な《不忍池図》(展示は12月12日まで)を、まず観察してみよう。土を入れた大きな鉢の中に花を咲かせた芍薬が植えられている。細かく観察するのが楽しい絵だ。

小田野直武筆《不忍池図》
一面、江戸時代、18世紀、秋田県立近代美術館蔵、重要文化財
展示期間:11/16~12/12(無断転載禁止)

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「秋田の武士が描いた絵が本当にうまい」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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