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【社会】

共謀罪の危険に警鐘 「横浜事件」原告が人権訴え

弁論後の集会で発言する木村まきさん=東京・霞が関の弁護士会館で

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 戦時中最大の言論弾圧とされる「横浜事件」で有罪判決を受け、再審で免訴が確定した元被告の遺族らが国家賠償を求めた控訴審弁論が二日、東京高裁であった。元被告の妻で、原告の木村まきさん(67)が意見陳述し、安全保障関連法の成立や通信傍受法の対象拡大で、平和や人権が軽視されかねない動きが出つつある現状に「横浜事件を二度と起こしてはならない」と訴えた。

 治安維持法違反容疑で逮捕された二人。木村さんは「治安維持法に似たような法律が出てきている」と指摘し、「平和とは戦争をしないということではないか。この国の選択や方向が恐ろしい」と警鐘を鳴らした。

 訴えでは、木村さんの夫で、元出版社社員の故亨さんは一九四三年、共産党の再建を図ったとして、神奈川県の特高警察に逮捕され、拷問で自白を強制された。原告側は、旅館で評論家らと一緒に写った記念写真からストーリーをでっち上げられたと主張している。

 「平成の治安維持法」とも呼ばれる「共謀罪」創設法案が来年の通常国会へ提出されようとしている。共謀罪は、犯罪の計画を話し合うことを処罰対象としており、思想や言論を取り締まる点で治安維持法と同じだとの指摘がある。

 弁論後の集会で、支援者ら約四十人を前に、木村さんは共謀罪について「国は手を替え品を替え、私たちを取り締まることに懸命だ。その都度、みんなで反対していかなければいけない」と呼び掛けた。

 

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