厚生労働省は2日、来年度の雇用保険制度改正の素案を公表した。倒産や解雇によって離職した30~44歳の失業給付を30~60日間延長することや、最低賃金の引き上げを受けた給付額の増額などを盛り込んだ。時限的な雇用保険料率の引き下げ幅や、国庫負担割合の圧縮幅も示した。過去最大の積立金額は大幅に減少する見通しだ。
年内に結論をまとめて来年の通常国会に雇用保険法改正案を提出する。
失業給付の延長は被保険者期間が1年以上5年未満の人が対象になる。30~34歳は30日間延長して120日間に、35~44歳は60日間延長し150日間とする案を示した。
給付額を増やす案も提示した。最低賃金が大幅に引き上げられたことを受けた措置で、給付額の算定の基準となる賃金日額の下限額を170円上げて2460円にする。上限額は年齢に応じて630円から790円引き上げて1万3370円から1万6340円とする。具体的な給付額は賃金日額に45~80%を掛け合わせた金額になる。
他にも震災による倒産や解雇で離職した人向けに60日間の給付延長措置を設ける。東日本大震災のような大規模な災害の場合は120日間延長できるようにする。他にも雇い止めで離職した非正規労働者への給付延長措置を5年間延ばすことや、教育訓練給付の拡充も提案した。
雇用保険料率は0.2ポイントの引き下げ、国庫負担割合は2.5%に引き下げる案を提示した。来年度から3年間の時限的な措置になる。