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【韓国首席秘書官メモ公開】
「国家元首への冒涜許さぬ」「産経支局長に酌量の理由なし」…言論の自由、真っ向無視 海外の批判高まりに危機感も
韓国大統領府の元民情首席秘書官のものとされるメモは加藤達也元ソウル支局長の処罰に向け、大統領府から組織的な捜査の指令があったことをうかがわせる生々しい内容となっている。
「言論の自由の名の下に国家元首を冒涜(ぼうとく)することは許されない」との記述からは、「言論の自由」に真っ向から挑んだ当時の大統領府側の心境がにじみ出ているようだ。また、当時法相だった黄教安(ファン・ギョアン)首相が「産経支局長に情状酌量の理由がない」と語ったとみられる記述もあった。
その半面、海外メディアから批判が出始めると「内外の言論(報道機関)注視」「言論団体への説明」といった記述も登場。言論弾圧に対する反発への危機感も示されていた。
外交問題に発展するのを心配していた形跡もあった。韓国当局による加藤元支局長への対応が日本の世論を悪化させていることへの懸念や、日韓問題に及ぼす影響、特に慰安婦問題で日本政府が態度を硬化させることを予測し、対応に苦慮する様子が手に取るように分かる。
メモを残したとされる金英漢(キム・ヨンハン)氏は加藤元支局長の無罪判決が出た昨年、地方の大学教授となり、弁護士となった今年、死去した。メモが公になった今、韓国大統領府は前代未聞の不祥事に見舞われている。無理な法的処罰を試み、日本世論の反発を引き起こした大統領府は2年後の今、自国の世論の批判にさらされている。(ソウル 名村隆寛)