「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)は2日の衆院内閣委員会で自民党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、今国会で成立する公算が大きくなった。自民党は6日に衆院を通過させ、早ければ9日の参院本会議で可決・成立させる考えだ。一方、民進党は採決の強行に抗議し、共産党は反対。自主投票とした公明党は委員の賛否が分かれた。
成立の公算大
カジノ法案は自民党などの議員立法で、刑法が禁じているカジノを合法化して大型娯楽施設を整備し、経済の活性化を図るよう政府に促すもの。ギャンブル依存症の防止策やマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪対策は、政府が1年後をめどに提出する実施法案に盛り込む。
政府は成立を待って実施法案の検討を本格化させる。自民党幹部は2日、法案提出が2018年になるとの見通しを示したうえで、国内に開設されるカジノは「5カ所以下になるのではないか」と語った。
内閣委の審議は2日間で6時間強で、多くの論点が積み残された。提案者の西村康稔氏(自民)は「20年東京五輪・パラリンピック前後の経済活性化策として意味がある」と述べ、成長戦略としての意義を強調。緒方林太郎氏(民進)はカジノ合法化で「射幸心を助長する恐れは解消されるのか」とただしたが、西村氏は「政府の実施法案で適切に規定される」などと述べるにとどめた。
またギャンブル依存症を巡っても、清水忠史氏(共産)が「法案に依存症対策が盛り込まれていない。政府に丸投げで白紙委任にすぎない」と批判したが、細田博之氏(自民)は「大きな問題なので政府に働きかけたい」などと繰り返した。公明党は内閣委の委員3人のうち、佐藤茂樹氏が賛成し、浜村進、角田秀穂両氏は反対した。
参院自民党幹部は「参院でも同程度の審議で十分だ」と早期に採決する考えを示した。民進党の安住淳代表代行は記者会見で「カジノが経済効果を発揮すると考えるなら大間違いだ。賭博に関係する法案を強行採決するのは異様だ」と批判を強めた。【加藤明子、高橋恵子】
【ことば】統合型リゾート(Integrated Resort=IR)
カジノを中核に、ホテルやレクリエーション施設、国際会議場などを併設するリゾート。民間資本を活用した地域振興策として期待する声もある。