2016年12月3日04時11分
自動車や電機などの産業別労働組合が加盟する金属労協が2日、2017年春闘の方針を示し、前年と同じ「ベア3千円以上」の要求を掲げた。自動車を中心に業績の減速傾向がみられるものの、全体として経済環境は前年並みと判断。傘下の自動車総連と電機連合もこの方針に沿い、「ベア3千円以上」の目標を打ち出す方針だ。
また、自動車総連傘下で315組合(約33万9千人)を抱えるトヨタ自動車グループの「全トヨタ労働組合連合会」も足並みをそろえ、「ベア3千円以上」を求める方向で調整に入った。
賃金体系全体を底上げするベア要求は4年連続。16年春闘では、中小企業の賃上げを優先課題に掲げた。しかし、賃上げを求めた傘下の組合のうち、会社側が応じたのは従業員300人未満の中小企業では6割だけ。獲得率が9割に上った大企業労組との格差を縮めることはできなかった。
トランプ米次期大統領の登場で金融市場は荒れ気味だ。自動車や電機など輸出型産業の先行きは読みにくくなっている。足元で進む急速な円安は好材料だが、振れ幅の大きさは経営者の不安心理も招きやすい。それでも金属労協は「前年から要求水準を下げなかったことが、中小企業ではプラスに働くのではないか」(幹部)との期待がある。
近年は政府主導の「官製春闘」によるベアが進んだが、消費は思うように伸びていない。ベアの恩恵を受けにくい非正規労働者の増加も背景とされる。相原康伸議長(トヨタ出身、自動車総連会長)はこの日の記者会見で「非正規労働者をはじめとした多くの働き手の処遇改善が重要」と述べ、労組加入を促す取り組みを強める方針も示した。
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朝日新聞社会部