自民党税制調査会は2日、地球温暖化対策の一環として、市町村の森林整備を支援する「森林環境税」を創設する方針を固めた。税額や導入時期など具体的な制度設計については「2018年度改正で結論を得る」としており、今後、詳細を詰める。
地方税である個人住民税に上乗せする形で国が徴収し、森林保全が必要な市町村に再配分する仕組みを検討。市町村が山林所有者に代わって間伐を行ったり、林業の担い手を育成したりする事業に充てる。
地方の山間部では、高齢化や人手不足で間伐など森林の手入れが行き届かず、荒廃が問題となっており、山間部の市町村への財政支援で対応する必要があると判断した。森林が保全されることで国民全体が恩恵を受けるとして、全国民を対象とした森林環境税の創設を決めた。温暖化対策のパリ協定に基づいて二酸化炭素(CO2)を削減するには、CO2の吸収源である森林を保全する必要があり、水源の維持にもつながるため、林野庁などが安定財源を要望していた。
ただ、現在37府県がすでに同様の税制を設けており、国が新税を導入すれば二重徴税となる恐れがある。また、すでに導入している自治体では、自前の制度の廃止を求められ、財源が国に移って自由に使えなくなることへの警戒感も根強い。そのため、地方自治体を所管する総務省は、自治体などとの調整を進める方針だ。
地球温暖化対策を目的にした税金には、すでに地球温暖化対策税があり、石油や天然ガスなどのCO2排出量に応じて事業者に課税し、事業者は電気代やガソリン代などに上乗せしている。温暖化対策の国民負担が増えることには、必要性や効果など丁寧な議論を求められそうだ。【横山三加子】