韓国政府は1日、北朝鮮に対する独自の制裁を2日朝に発表することを予告した。北朝鮮が9月に5回目の核実験を強行したことを受け、国連安全保障理事会が先月30日に採択した制裁決議2321号とは別の制裁措置だ。韓国、米国、日本の3カ国が協力し、北朝鮮に対する制裁をさらに緻密なものとする方針(本紙10月13日付報道)に基づくもので、米国と日本も韓国と同じ時期に独自の制裁案を発表する予定だという。韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が1日に明らかにした。
韓国政府が準備中の制裁リストの中には、今年9月に米国によるいわゆる「セカンダリーボイコット(北朝鮮と取引のある第三国の企業や個人に対する制裁)」の対象となった中国企業の鴻祥グループが含まれているという。中国企業が韓国政府による独自の制裁対象となるのはこれが初めてとなる。今後も米国が鴻祥と同じく北朝鮮と取引を行う企業に制裁を加える場合、韓国政府も米国の制裁措置と歩調を合わせる方針だ。
韓国政府はさらに、北朝鮮に入港した外国船舶の韓国国内入港禁止期間をこれまでの6カ月から1年に伸ばす方策も取りまとめた。つまりこの制裁により、北朝鮮を行き来する外国船舶は、北朝鮮よりもはるかに大きな市場である韓国を失うことにつながるわけだ。
また制裁リストには朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の最側近とされる崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党中央委員会副委員長、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長の名前も明記されている。ただし北朝鮮政府関係者は韓国国内に資産を持っておらず、また南北交流もほぼ断絶状態にあることから、これは象徴的な意味合いが強いようだ。しかも金正恩氏や妹の金与正(キム・ヨジョン)氏など金氏一家の名前はリストにないという。今回の独自制裁についてある韓国政府筋は「北朝鮮が今後6回目の核実験を含む挑発行為を仕掛けてきた場合、これに使えるカードも残しておかねばならない」と述べた。
一方で日本政府も2日に国家安全保障会議(NSC)を開き、朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)幹部らによる日本への再入国を禁じる措置を強化し、北朝鮮の企業や個人の資産凍結対象も新たに追加する方針だという。NHKが報じた。さらに一連の制裁の動きで最も注目されるのは米国の対応だ。オバマ大統領は今年3月の大統領令13722号の中で「人権侵害に責任のある個人」を制裁対象としており、7月6日にはこれを根拠に金正恩氏を人権問題に関する制裁リストに含めている。
上記の韓国政府筋は「米国は今回も新たな大統領令などで北朝鮮に対する制裁の幅を広げる可能性が高い」との見方を示し、別の外交当局筋は「米国は前回の鴻祥グループのように特定の企業を名指しするのではなく、トランプ新政権がセカンダリーボイコットをやりやすくする法的根拠を取りまとめるのではないか」との見方を示した。