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【対北制裁】
韓国も日本と足並みそろえ独自制裁を拡大 中国企業や正恩氏最側近らを網羅、在韓外国人も対象
【ソウル=桜井紀雄】韓国政府は2日、5回目の核実験を強行した北朝鮮に対する独自の追加制裁を発表した。制裁対象として新たに、中国企業や金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の主だった最側近らも加えた。日本の独自制裁と発表を合わせ、足並みをそろえた。
金融制裁の対象に加えたのは、北朝鮮の核開発に関与したとして、米政府が刑事訴追した中国の貿易会社「鴻祥実業発展有限公司」と同社の女性経営者ら。党や人民武力省などの機関を含む36個人、35団体に上り、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長や崔竜海(チェ・リョンヘ)党副委員長、秘密警察、国家安全保衛部の金元弘(ウォンホン)部長ら政権中枢の幹部も網羅した。
一方で、金委員長自身と妹の金与正(ヨジョン)党副部長は対象から外れた。
核・ミサイル分野を研究する在韓外国人が訪朝し、韓国の国益を損なうとみなされた場合、再入国を禁止する。北朝鮮に寄港した第三国の船舶の韓国入港を禁じる期間も180日から1年に延長する。
石炭など33品目に禁輸品目を拡大した上で、石炭や原油を取引する北朝鮮の団体や、海外への労働者派遣を管轄する対外建設指導局も制裁対象とした。北朝鮮国営の航空会社、高麗航空も加えた。
制裁対象は、韓国国民との金融取引が禁じられ、韓国内の資産が凍結されるが、実質的に取引がないため、象徴的な意味が強い。対象となった幹部らは今後、韓国への入国が制限されるとみられる。