政府 北朝鮮への独自制裁強化を決定

政府 北朝鮮への独自制裁強化を決定
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政府は、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合で、国連の安全保障理事会が、北朝鮮に対して新たな制裁決議を採択したことを受けて、日本独自の制裁を強化するため、従来から科している再入国の禁止措置と資産凍結の対象範囲を拡大することなどを決めました。
政府は総理大臣官邸で、安倍総理大臣、麻生副総理兼財務大臣らが出席してNSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開き、国連の安全保障理事会が北朝鮮に対して新たな制裁決議を採択したことを受けて、日本独自の制裁措置を強化することを決めました。

それによりますと、北朝鮮を渡航先として出国した、在日の北朝鮮当局者などと、核やミサイル関連の技術を持つ在日外国人に科している再入国の禁止措置について、対象範囲を拡大するとしています。

また、北朝鮮に寄港した日本籍船舶の入港を禁止し、これにより人道目的を含めて、北朝鮮に寄港したすべての船舶の入港が禁止されるということです。

さらに、資産凍結の対象とする北朝鮮の核・ミサイル計画などに関連する団体と個人について、従来の43団体と40人から、アメリカがことし9月に制裁対象に加えた中国の団体や個人を含めて、54団体と58人に拡大するとしています。

政府は、ことし2月に北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルを発射したことを受けて、日本から北朝鮮に現金を持ち出す際、国に届け出る金額を10万円を超える額に引き下げることなどを盛り込んだ日本独自の制裁措置を行っています。

官房長官「必要に応じ追加措置を検討」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「今回の措置の実施にあたっては、関係法令に基づき、必要に応じ閣議決定や国会の事後承認等の手続きを経ることになる。今後とも北朝鮮の対応や国際社会の動向を踏まえ必要に応じさらなる措置を検討していく」と述べました。

また、菅官房長官は「アメリカや韓国との間では、総理や外務大臣といったさまざまなレベルで連携しており、今回の措置についても両国と緊密に連携しつつ検討を行ってきた。その結果として、日米韓3か国で時期を合わせ、それぞれの独自制裁を公表することにした」と述べました。

さらに、菅官房長官は「北朝鮮による挑発行動の可能性や、核・ミサイル開発に関する動向については、常日頃から重大な関心を持って情報収集や分析にあたっている。日米が連携し、いかなる事態にも対応できるよう、緊張感を持って必要な警戒監視をしっかり行い、国民の皆さんの平和と安全の確保のために全力で取り組んでいく」と述べました。

朝鮮総連 制裁の撤回求める

朝鮮総連のナム・スンウ(南昇祐)副議長が記者会見し、「対朝鮮敵視政策と朝鮮総連に対する政治的抑圧を強め、在日朝鮮人の人権を著しく踏みにじる許しがたい行為だ」と抗議しました。

そのうえで、「日本政府が『対話と圧力』と言いながらもアメリカに追従し、独自の制裁措置を拡大強化することは、拉致問題を含む対話の可能性を完全に放棄するに等しい無責任な行為だ」などと批判し、政府に対し制裁の撤回を求めました。

中国外務省「独自制裁には反対」

政府が、北朝鮮に対する日本独自の制裁を強化するため、従来から科している再入国の禁止措置と資産凍結の対象範囲を拡大することなどを決めたことについて、中国外務省の耿爽報道官は2日の定例の記者会見で、「われわれは、国連安保理の枠組み以外での1つの国に対する一方的な制裁には反対であり、独自の制裁や、中国の正当で合法的な利益を損なう制裁には、より強く反対する」と述べ、反発しました。