ラオスの中国農園、農薬「無法状態」 魚大量死、目まいに頭痛…住民ら健康被害訴え憤り (2/2ページ)

2016.12.01

ラオス北部ボケオ県にある中国企業のバナナ農園。道路脇に中国語の看板が立っていた=9月27日(共同)
ラオス北部ボケオ県にある中国企業のバナナ農園。道路脇に中国語の看板が立っていた=9月27日(共同)【拡大】

 ◆一帯に刺激臭

 農園には熟成を抑えたり虫を防いだりする目的でバナナを農薬に漬ける“プール”もあり、一帯には刺激臭が漂う。

 人口700万弱のラオスでは、農業分野以外でも中国企業の進出が相次ぎ、街中には中国語の看板があふれて“中国化”が進んでいる。環境保護団体によると、北部では5年ほど前から、もともと農業を営んでいた住民が現金収入を目当てに中国企業に土地を貸し、バナナ農園が広がり始めた。

 ラオス農林省の統計ではバナナ農園は2015年、国全体で約2億8000万平方メートルにおよび、生産量は約79万トンで5年前の4倍以上に増えた。スイカやトウモロコシも栽培されている。

 中国人が経営する店をのぞくと、高濃度の殺虫剤が売られていた。中国でも同様に販売されているのかは不明だが、日本では毒物に指定されて取り扱いが規制される濃度だ。

 「連日、住民や労働者が何人も来て目まいなどを訴える。いずれ深刻な病気を発症するのは間違いない」。ボケオ県にある診療所の男性医師が証言した。

 農業事情に詳しいラオス人男性は「中国企業がラオスの役人に賄賂を渡し、好き勝手なことをしている。法律は機能していないに等しい」と指摘。農家の男性は「自然豊かな土地が汚され悔しい。もう元には戻らないだろう」と嘆いた。(ラオス北部ボケオ県 共同)

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