ラオスの中国農園、農薬「無法状態」 魚大量死、目まいに頭痛…住民ら健康被害訴え憤り (1/2ページ)

2016.12.01

ラオス北部ボケオ県にある中国企業のバナナ農園。道路脇に中国語の看板が立っていた=9月27日(共同)
ラオス北部ボケオ県にある中国企業のバナナ農園。道路脇に中国語の看板が立っていた=9月27日(共同)【拡大】

 ラオスに中国企業が多数進出し、バナナなどの農園経営を急拡大させている。温暖で人件費も安いことが理由とされる。しかし、危険な農薬を大量に使っているとみられ、住民たちは「無法状態」と憤り、健康被害を訴えている。

 ◆マスク支給されず

 ラオス北部ボケオ県。中国との国境につながる山間部の幹線道路沿いに、バナナ農園が延々と広がっている。行き交うトラックには中国ナンバーも。ある農園では、ラオス人の出稼ぎ労働者が10歳前後の子供たちとともにマスクもせず農薬を散布、中国人従業員が車で巡回し作業を見張っていた。

 「農薬が散布されるたびに魚が大量に死ぬ。2年前に農園ができるまで、こんなことはなかった」。同県シームアンガン村の男性漁師が憤った。漁場となる川の岸にはあたり一面にバナナが生い茂っている。

 農薬がまかれると刺激臭が立ち込め、自分だけでなく幼い息子や娘も頭痛や吐き気に苦しむ。「子供の健康が心配。村を出たいが、他に行く所がない」と言葉少なだ。

 隣村では、農園で作業を終えた男性労働者がふらつきながら中国企業の寮に向かって歩いていた。「1週間前に働き始め、農薬を大量に吸い込んで体調を崩した。怖くてもう辞めたい」と声を振り絞った。企業にマスクや防護服の支給を求めても「持っていない」と拒否されたという。

 

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