なぜ切迫した緊急事態であることを伝えたのが墜落直前だったのか?

航空業界に於いてのルールにパイロットのミゲル・アレハンドロ・キロガ・ムラカミ氏が従わなかったことについては、

・履歴書に緊急事態宣言をしたことが書かれてしまう

・十分な燃料を積まずに飛んだことが発覚した場合、パイロットと会社に処分と罰金(2万5000ドル)が課せられる

からではないかと専門家から指摘が行われているようだ。

これらはあくまで現時点での論説であり、今後長くても一ヶ月程度でブラックボックスの調査が終了するため、それ以降に正しい分析結果が発表されると考えられる。

現在のところ確実なのは、管制タワーとの通信が始まってからわずか数分で飛行機の燃料が全てゼロになり、急降下で山に墜落している(残骸が小範囲に留まっている)ことである。

墜落の理由が燃料欠乏である可能性が高いことから、なぜその状態に陥ったのかという点について各紙が推測を行っている。

燃料がギリギリになっていた理由は?

この事故機BAe 146の最長航続距離は2965km(負荷や燃料の質などで上下する)であり、今回飛んでいたルートとほぼ同距離となっている。

飛行計画においてはボリビアのコビハ空港において補給を行う予定であったが、時間が遅かったためにそれができていなかったことを『La Prensa』などが伝えている。

また、ラミア社のCEOであるグスタボ・バルガス氏の証言によれば、燃料に問題があれば手前のボゴタ空港で補給する計画もあったという。

しかし、パイロットのミゲル・アレハンドロ・キロガ・ムラカミ氏は直接メデジンへと向かうことを決断している。補給の判断についてはすべて彼に任されていたという。

スイスで修行を行った経験豊かなパイロットである彼がどうして危険を冒す選択肢を行ったのか。それをグスタボ・バルガス氏は調査したいと発言しているようだ。

なお、サッカークラブなどを主な顧客としていたラミア社の経営は決して芳しいものではなく、ミゲル・アレハンドロ・キロガ・ムラカミ氏も創業者の一人であったことから、経済的な理由があったのではないかとも推測されている。