今作は全世界で1000万本を越える出荷を記録し、3DS史上最大のヒット作となる見込みとなっています。
筆者も早速『サン』を購入しストーリーはクリアしましたが、前作までとの大きな仕様変更が目立ち、新規プレイヤーにとって参入障壁が下がった設計になっているのがわかります。
ひでんマシンがなくなった
これまでの「ポケモン」では、物語を進めていくうえで「なみのり」「かいりき」「そらをとぶ」といった、通常の技とは違った「ひでんわざ」と呼ばれる特殊な技を手持ちのポケモンに覚えさせることが必須でした。「ひでんわざ」は一度覚えると、通常の方法では忘れさせることができず(大体、ストーリーの後半で技を忘れさせてくれる爺さんがでてくる)、物語をスムーズに進行する上では「ひでんわざ用ポケモン」をつくる必要に迫られたりと、なにかと窮屈な存在でした。
しかし、今回それを「ポケライド」という、手持ちとは関係ないポケモンが解決。川や海を渡るときはラプラスが、空をとんで町を移動するときはリザードンが、邪魔な岩を破壊するときはケンタロスが、6匹しか入れられないパーティーを圧迫せずに協力してくれようになりました。ケンタロスライド pic.twitter.com/tR46dcHTQH
— ジェム?内藤@虫統一 (@GemKnightLazuli) 2016年10月18日
無駄なストレスを感じさせず、しかもわりと人気ポケモンの姿を序盤から見ることができるのでテンションが上がります。
目的地が常にマップに表示されている
「ポケモン」といえば育成ゲームであり、対戦ゲームですが、そのストーリーはRPGの体裁で進行していきます。RPGといえば、目的地に赴いてボスを倒す、人に会うといったミッションを達成して、次のストーリーへと渡り歩いていくもの。多くのRPGにおいてそのルート探索は難しくもあり醍醐味でもあります。
ただ、『サン・ムーン』では次にいくべき場所がマップ上で親切にマーキングされているのです。
RPG初心者に優しいだけでなく、おかげで高速でストーリーを終わらせ、育成や厳選(強いポケモンを選りすぐること)に集中したい人にも嬉しい機能だといえます。
重要なバトルに入る前に準備できる
ライバルや幼馴染、あるいはロケット団に端を発する数々の悪の組織の幹部クラスと戦う際、これまではなんの前触れもなくバトルに強制的に入る設計でしたが、今回はここも変更。大事な勝負の前はレポートをしっかり書き残しておこう
イベントバトルは相手が強力なポケモンを繰り出すことが多く、すでにパーティーがダメージを受けている状態では苦戦を強いられるため、ここでもゲーム初心者への配慮が感じられます。
ジムがなくなった
「ポケモン」シリーズといえば、各町に存在するジムリーダーを倒してバッジを集め、最後はチャンピオンロードで待つ四天王を倒すというのがこれまのストーリーの基本。しかし、『サン・ムーン』ではジムを巡ってポケモンのチャンピオンを目指すのではなく、カントー地方(初代『赤・緑』の舞台)からアローラ地方に引っ越してきた主人公が、「島巡り」という現地の少年少女たちが行う風習をなぞる形に。正直何を目指しているのか明かされないままストーリーは進行します。
個性豊かなキャプテンたち。プレイヤーに様々な試練を与える(『ポケットモンスター サン・ムーン』公式サイトより)
今回はジムリーダーを倒してバッジを集める代わりに、「島キング」「ぬしポケモン」「キャプテン」らを倒していく行程になっています。
『ポケモン サン・ムーン』はなぜこうも初心者にやさしいのか?
はっきり言って、『サン・ムーン』は本編を攻略するという面でみると、これまでのどの「ポケモン」よりも簡単になっています(前作までも特に難しいゲームではありませんでしたが)。ダンジョンなどでも、「ポケモン」名物の謎解き要素も存在せず、小さい子供でも何のヒントもなしで苦労なく突破できる気がします。ほかにも、一度戦ったポケモンの場合、どの技が効くのか効かないのか、相手とこちらの技との相性も一目で分かるようになっています。
難易度を下げる設計変更を挙げようと思えば、枚挙にいとまがありません。
ゲーマーの間でたまに使われる言葉をあえて使えば、「ゆとり仕様」だと言い切れます。しかしなぜ『サン・ムーン』ではそれを選択したのか。
その前提を考える上で重要なタイトルがゲームアプリ『Pokémon GO』と「妖怪ウォッチ」シリーズです。
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