以下、カジノ導入反対派の方々が作成した非常に良いビデオを発見しましたのでご紹介します。
カジノの町は今―韓国・江原道チョンソングン
http://www.youtube.com/watch?v=16susIPB-48
韓国の江原道は、韓国で唯一の韓国民の入場を許すカジノが存在する地域です。実は、昨年夏から秋にかけて私も某自治体からの受託調査という形でこの地域を含んだ韓国カジノ業界に関するかなり突っ込んだ調査も行なったのですが、正直申し上げると韓国国民の中ではカジノ産業に対する失望感が高く、特にこの江原道のカジノに関しては上記映像で紹介がなされているような感想を持っている人間が多いのが事実です。
その最大の原因として挙げられるのは、交通アクセスが非常に悪く、周辺地域との観光連携も出来ないような山間地域にカジノを「ただ誘致」をしてしまったが故に、いわゆる一般的な観光客は集まらず、ただギャンブルだけを目的とする国内顧客だけが地域に集まってしまったことにあります。江原道のカジノには、大型のMICE施設や最新の設備を整えたスキー場やゴルフ場なども併設されていますが、何しろ韓国最大の(というよりは唯一のと言っても良い)人口集中圏であるソウル都市圏からはバスや鉄道で3時間もかかるアクセスの悪さ。ハッキリ言ってしまえばそのような一般観光客向け施設に顧客は集まらず、一方で「韓国人にとって唯一入場できるカジノ」を目的とした顧客ばかり集まってしまっているのも無理はありません。
結果として、カジノ導入から期待された経済的な波及効果が十分に引き出されず、逆にそこから生まれるマイナス面のみが際立ってしまうという状況が生まれました。冒頭でも述べた通り、カジノ導入ではそこから生まれるマイナス面をゼロにする事は出来ませんから(小さくする事は出来ても)、プラスの効果が十分に発揮されない場合には総体として地域にとってのカジノ導入はマイナスになってしまうことがある、というのがこの江原道のケースで示されているといえます。
次にご紹介するのは、同じ方々が作成したマカオに関する映像です。
マカオのカジノの現状(2007)
http://www.youtube.com/watch?v=eIDRTb9p3BY
マカオに関しては韓国ほどカジノの導入に対する失望感が大きいわけではなく、あまりに急速に発展した同地域におけるカジノ産業から生まれるプラス面とマイナス面の間で、地元の住民が右往左往しているというのが実態です。上記映像はカジノ導入に反対のスタンスを取っている方が作成しているものですから、どちらかというとマイナスの表現となっていますが、映像内で紹介されている同じ現象をプラスと捉えている住民も一方で存在するのも事実です。
例えば、「マカオにおいて本格的なカジノ産業の導入以降、地価が急騰している」というのは良くある批判ですが、これは裏返せば地域に大量の開発投資資金が流入している結果であって、投資誘因という側面から見れば良い現象であるといえます。また、そもそも日本でいうと東京の渋谷区程度の小さな都市に、世界から2800万人の観光客が集まる観光都市へとこの10年弱で急に転換したワケですから、交流人口の増加に伴って地価が高騰するのはあたりまえ。すなわち、同地域の観光産業が急速に発展した結果でもあるということです。
同時に「カジノ産業に労働力を取られて地域商店等が労働力不足に陥っている」というのも典型的な批判ですが、これも裏返せば地域に高賃金な新しい雇用が生まれた故に、相対的に賃金が低く劣勢にある産業から労働者が移動した(逃げた)だけとも言えるワケで、必ずしも悪い現象とも言えないのが実情です。
また、このように完全に労働需要超過に陥っている地域においては、通常は周辺他都市から人口流入が起こりそれを緩和する市場作用が働くワケですが、中国に属しながら「特別行政区」として本土からの人口の流入が容易に行なわれないマカオでは、オリジナルで地域に住む50数万人の人口で年率二ケタ台(例外の年もあるが)で成長する地域経済を文字通り「廻してゆかなければならない」ワケで、そのようなマカオの特殊な事情が地域雇用者の賃金高騰と、劣勢にある職場においての労働者不足を招いているといえます。
弊社、国際カジノ研究所では昨年後半に、地方自治体からの受託調査として、上記で紹介した韓国、マカオに合わせて、シンガポール、米国ネバダ州を加えた4つのカジノ市場に対する大規模調査を実施いたしました。この調査は、カジノ導入における成功事例のみならず、失敗と評価されているような事例も含めて、世界のカジノ導入で先行する代表的地域に対して、デスクリサーチおよび実地調査から、事業者ヒアリング、現地専門家に対するアンケート調査までの包括調査を行なった国内で始めての公的調査です。その中では「カジノ導入に対する国民(市民)の事後評価」という項目も扱ったのですが、上記の韓国の国民評価が「最悪」、マカオが「やや悪い」。一方で、米国ネバダ州が「やや良く」、シンガポールでは多くの住人がカジノ導入を「高く評価」しているという結果が判りました。
調査の詳細に関しては、すでに調査主体となった自治体側から発表されておりますので(概要版のみ)、そちらをご参照頂ければと思いますが、上記の調査から判ることは「カジノ導入を活かすも、殺すも、その導入のあり方次第である」ということ。そして繰り返しになりますが、そのプラスとマイナスの両面を勘案しながら、それぞれの地域にとってカジノ導入が利を生むかどうかをしっかりと論議することが必要であるということであります。
参考: カジノを含む統合型観光リゾート(IR)による経済・社会影響調査 調査報告書【概要版】について(北海道)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/proposal.htm
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