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タイ新国王が即位 混乱なく継承完了、日系企業安堵

2016/12/2 1:33
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 【バンコク=小谷洋司】タイのワチラロンコン皇太子(64)が1日、国王に即位した。新国王は10月に88歳で死去したプミポン前国王の長男。前国王の死去50日目の節目に王位継承が完了した。国王の不在が続く異例の事態となっていたが、目立った混乱はなかった。現地の日本企業の間にも安堵が広がった。

国王即位の受諾声明を読み上げるワチラロンコン新国王を報じるタイ地元テレビ局の画面(1日夜、バンコク)

国王即位の受諾声明を読み上げるワチラロンコン新国王を報じるタイ地元テレビ局の画面(1日夜、バンコク)

 1日夜、プレム暫定摂政(元首相)、プラユット暫定首相、ポーンペット暫定議会議長らが首都バンコクのデュシット宮殿で皇太子に即位を正式に要請。現地テレビ局はこの様子を一斉に録画中継し、「タイ国民のため(即位の要請を)受諾する」と新国王が声明を読み上げる様子を伝えた。

 前国王は在位70年と現役の国家元首で最も長かった。このため、大多数のタイ国民にとって今回が初めて目撃する王位継承となった。タクシン元首相派と反対派の分断が残るタイで、新国王が政治とどのような距離を取るかは不透明だ。

 王位継承を巡っては、この機に乗じて反王制の動きが起きることを懸念する向きもあったが、軍事政権は交流サイト(SNS)などの監視を強化し、王制を巡る対立の芽を摘み取った。一部で懸念された跡目争いも起きなかった。

 タイには4500社以上の日本企業が集積する。万一混乱が起きるとサプライチェーン(供給網)を通じ影響が世界に広がる恐れもあった。ある自動車部品大手のタイ法人社長は「これで従業員も落ち着くだろう。継承が順当に進んだので安堵している」と話した。

 タイ国東京海上火災保険でリスクコンサルティングに携わる青島健二氏は「外国人が懸念したほどタイ国民は心を乱さなかった。総じて(前国王の死去と王位継承を)冷静に受け止めているようだ」と分析する。

 今後、新国王による署名を経て新憲法が発布され、2017年末に予定されている総選挙に向けた関連法の設定作業などが進む。ただ、17年10月以降に前国王の火葬の儀、新国王の戴冠式など王室の重要日程が相次ぐため、予定通りの選挙実施を危ぶむ声もある。

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