職場の環境整備を行うだけで、業績を急伸させた会社が続出しているという。環境整備とは、社員が育つ環境を作ることにつながる。また、それを習慣付けることで、会社の雰囲気が良くなり、生産性が向上し、ひいては業績をアップさせる効果がある。環境整備は業態・業種・規模を問わず、すべての会社で実践できる人材育成方法だ。環境整備が企業にもたらすプラスの効果、そしてその具体的な導入のノウハウを、100社以上の企業において環境整備の指導を行ってきた、日本そうじ協会理事長の今村暁さんにうかがった。
PDCAが回る組織ができ業績もアップする環境整備
社員が育つ環境作りと習慣作り、それが今村メソッドの掃除から始まる環境整備だ。「環境整備に取り組むといいことがたくさんあるのですが、会社にとっての効果でいうと、大きくは2つ。1つは、リーダーが育つ。1つは、業績が上がる。それらの土台となる規律ある、良い社風ができる。早い企業なら数カ月でその効果が表れます。だから取り組む企業が多いのです」と日本そうじ協会理事長の今村暁さんは説明する。
事実、導入企業の多くにおいて、3年以内にプロジェクトマネジメント能力のある人材が育ち、社内に社員が自主的に取り組むPDCAのサイクルが回り始めている。もちろん、ただ机を拭いたら会社がもうかる、というわけにはいかない。
今村メソッドの環境整備は、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」に、「習慣」「仕組み化」を加えた6Sからなる。この習慣と仕組み化がポイントで、社員一人ひとりが「もっといい環境にしよう」と、自発的に知恵を出す訓練を積み重ねる仕組みになっている。
「まず環境整備に取り組み始めると、ストレスの少ない職場になるので、社員が前向きになります。そして、どうしたらもっと早くできるか、生産性が良くなるかと、日々、改善を考える習慣がついてくる。
それが身に付くと、もっと営業成績を良くするには、この会社を良くするにはどうすればいいだろうと、仕事を改善する知恵出しもできるようなる。その結果、業績も上がり、人が育ってきたと感じられる会社が多いのです(図表1参照)。
みなさん、掃除というときれいにすることが目的だと考えるのですが、そうではありません。環境整備というのは、人を育て、業績を上げるための最高の手段なのです」
誰もが参加できる簡単な掃除を徹底的に究めることによって、社員は「これくらいでいい」ではなく、常に上を目指す向上心を手に入れ、それを仕事に生かすようになる。規律ある強い社風、前向きな企業文化が作られる。結果、数字的な効果が経営にもたらされるという。