経済産業省と文部科学省は30日、企業と大学の共同研究を加速するため新たな指針を公表した。研究者が大学と企業の両方に籍を置き、施設や人脈を最大限活用できるよう、大学側は人事規定を見直すべきだとした。
30日に開いたイノベーション促進産学官対話会議で指針を了承した。政府は2025年度までに企業から大学への投資額を現在約1150億円から約3倍の約3500億円弱にする目標を掲げる。
企業が安心して投資できるように企業から提供された秘密情報に触れられる研究者を限定するなど、大学側の管理体制強化も求めた。
研究者が大学と企業の両方に籍を置く制度はクロスアポイントメント(相互雇用)と呼ばれる。指針では全ての大学に対しクロスアポイントメントが実施できるように人事規定を改定することを推奨。大学外での研究活動を積極的に評価できるよう、人事評価の仕組みを見直すことも求めた。
研究成果の管理体制を整備するほか、企業から受け取る非公開情報などを閲覧できる研究者を絞り、安心して資金を出せる環境を整備することが必要だとした。
企業が支払う共同研究費には、教員だけでなく研究に協力するポスドク(博士研究員)などの人件費を含むことが可能との考えも明記した。