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三日月宗近と山姥切国広の話[刀剣乱舞]

作者:無名審神者の夜風
三日月宗近がこの本丸にやってきてからどれほど経ったのだろう。
俺…山姥切国広は毎日のようにそんなことを考えていた。
彼が来た時、主はとても喜んでいた。
もともと出会える可能性が低いというのもあったのだろうが、やはりあの容姿、そして圧倒的な強さには惹かれるものがあった。
着々と出陣を繰り返し、二軍から一軍に彼が来た時、確かな焦りを感じた。
その焦りが戦闘にも影響を及ぼし、被弾回数も増え、手入れ部屋に入ることも多くなり、ついに隊長から下ろされてしまった。
後任は…まぁ言うまでもないか。

そんなある日のこと。

戦闘から戻り、『隊長の』三日月宗近が主の部屋で戦果を報告している間、俺はずっと縁側で雪を見ていた。白い雪は一片の汚れもなく、その美しさにふと彼の姿を思い浮かべてしまう。
「…っ…」
「おぉ、こんなところにいたのか、山姥切よ」
「!?」
突然の声に振り向くと、今思い浮かべたまさにその張本人がそこに立っていた。
「…終わったのか」
「あぁ、雪でも見ようと思ったら、お前がいたわけだ」
と、なにも気にせずに隣に座る。
こちらからもあちらからも口を開くことなく、時間が過ぎた。
…最初にその沈黙を破ったのは、彼の方だった。
「山姥切…無茶をしすぎだ」
その目は、冬の夜のように冷たく、暗い光を放っていた。
それは、降る雪にも共通する所があるように思えた。
「…!?」
「被弾も増えて、手入れ部屋に入ることも多いだろう?調子が悪いなら、少し休んだらどうだ?」
「…な…」
「隊長が俺に変わったのも、それが原因ではないのか?」
その言葉がトドメだった。
「…ぐ…っ…!」
すると、その鋭い殺気に彼が気づいたのか、両手を軽く上げる。
「おお…すまんすまん、冗談だ」
「…は?」
張った心が不意に緩んだ。
彼の言葉は続く。
「主が、最近山姥切のことばかり聞いてきてな。不安なのだそうだ」
…返答の切り口すら見つからず、黙って聞くことしかできない。
「俺は比較的何でも出来ると思われてる所も出てきてな、そこが俺の欠点でもある」
…何が言いたい。
「その気にかけて貰えているところに、その…なんだ、嫉妬とでも言うのか、それをしてしまってな」
不意に彼が微笑んだ。
細めた目には、夜に輝く月のような黄色い光が目立ち、夜の暗さは潜めている。
「な…主、が…?」
彼を真正面から見ることに限界を感じ、雪へ向き直る。

雪は先ほどと変わらず美しいが、先ほどの鋭い冷たさはもう見えない。
彼の見せた暖色の瞳に感じられた暖かさが、その雪からも感じられる。

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