一番好きな小説家は誰ですか?
こう聞かれたら、私は迷わず「黒川博行!」と答えます。
著者・黒川博行氏について
黒川博行氏が手がける作品は、ジャンルとしては、警察小説、ハードボイルド小説が主流です。が、骨董品をめぐる詐欺話などミステリー系もおもしろいのです。
その多くの作品は関西を舞台に、ひと癖もふた癖もある人間が登場し、まるで掛け合い漫才のような会話を交わしながら、「いざこざ」や「ごちゃごちゃ」を繰り広げるというもの。
スピード感ある展開、洒脱な言い回し、「お!」と思わせる落し方、などなど、まさに一級のエンターテイメント小説が揃っています。
黒川博行氏自身、ヒゲ面で飄々とした風貌ながら、時折、鋭い眼光を投げつける人物。
かなり、ネットリした大阪弁でのしゃべりも含め、一筋縄ではいかない人との印象を強く持ちます。
氏が描く作品に、そのまんま登場してもおかしくない雰囲気をお持ちの方なのです。
ちなみに数年前、週刊現代でグリコ・森永事件の真犯人として扱われました。
それに対して、名誉毀損等の裁判を起こし勝訴されています。
「破門」が直木賞を受賞した背景?
黒川博行氏は、自身が手がける「疫病神シリーズ」の第五弾、「破門」で第151回直木賞を受賞しています。
氏は過去、何度も直木賞にノミネートされ、その都度、落選していました。
同じ「疫病神シリーズ」の大傑作「国境」でもノミネートされたのですが、受賞できず。
「破門」がノミネートされたときは、「今回も無理だろうなぁ」と予想したのですが・・・、「あぁ、獲れてよかった」と一ファンとして「安心」しました。
聞くところによると、芥川賞は純粋に作品が選ばれるのに対して、直木賞は作品以上に作家が選ばれる要素が大きいとのことです。
つまり、「エンターテイメント分野で、継続的におもしろい作品が出せる人」が直木賞を受賞するものだそうで。
これまで傑作をいくつも書き上げたという実績に加え、それらに匹敵する素晴らしい作品を出した場合に贈られるものであり、さらに言えば、直木賞受賞者をはじめとする「人気作家グループに入ってもいいよ」と審査委員が判断した人が受賞できるのだそうです。
黒川博行氏が直木賞を受賞できたのは、作品の実績は十分、「破門」も傑作、そして、人物としてもお歴々の眼鏡に適った、ということなのでしょう、ね。
「疫病神シリーズ」とは
黒川博行氏の「疫病神シリーズ」は、「疫病神」、「国境」、「暗礁」、「螻蛄」、そして「破門」と続くものです。
建設コンサルタントといえば聞こえは良いけれど、ズボラで貧乏、かなりへタレな性格の「二宮 啓之」。
金の臭いに敏感で、儲け話にハイエナのように喰らいつく、ちょっとお茶目なイケイケやくざ「桑原 保彦」。
裏世界の儲け話を嗅ぎつけた桑原が、お金に困っている二宮を無理やり巻き込み、ゴチャゴチャ騒動を繰り広げると言うものです。
「疫病神」とは、二宮にとっての桑原のことですね。
記念すべきシリーズ第一作。
産業廃棄物の処理施設建設をめぐり、政財官とヤクザがもめるお話。
ヤクザ同士のいざこざで、お隣の半島の北側の国に潜入します。
警察と暴力団の癒着や利権に絡んでいく話。
宗教団体とその錬金術に切り込んでいくもの。
どの作品も、とてもおもしろいです。
途中巻から読んでも、その魅力を十分堪能できると思いますが、できれば「疫病神」から「破門」まで順番に読まれることをおすすめします。
直木賞作品「破門」の魅力
軽くストーリーに触れますと、
桑原と桑原の組の若頭・島田が映画製作に出資するが、そのプロデューサー・小清水が金を持ち逃げする。
その後を、桑原と二宮が追い詰め、全財産を吐き出させるが、途中で絡み合った同じ系列で格上のやくざをボコボコにしてしまい、それが大問題となる。
というものです。
丁々発止の会話
この「破門」の魅力、まずはシリーズ全般(というか、黒川博行氏の作品すべて)を通じて言える、癖のある登場人物の丁々発止の会話です。
桑原と二宮の掛け合い漫才のような会話。
桑原が追い込みをかける時の言い回し。
ヤクザ同士、一触即発下での駆け引き。
思わず笑ってしまうものもあれば、キリッとした緊張感を味わえるものまで、作品に出てくるセリフに引き込まれます。
リアリティ
次が、リアリティのある描写。
書かれている内容が実際にあるのかは分かりませんが・・・、いわゆる裏世界のしきたりや、犯罪もしくは犯罪ギリギリの仕掛けなどが、とてもリアリティをもって描写されています。
普通の暮らしをしていれば縁のないアンタッチャブルの世界を、垣間見ることができるのです。
機転の妙味
そして、桑原の機転の妙味。
イケイケやくざの桑原、すぐにブチきれるようで実はしっかりと計算しており、頭の回転が滅法、速いのです。
腕っ節の強さと機転の妙味で、絶体絶命の大ピンチも、桑原の事前の仕込や、その場での機転で乗り切っていきます。
どんでん返しの爽快感は、まさに黒川氏の真骨頂ではないか、と。
ただし、「破門」においては、その機転が通用しなかったのです・・・。
と「破門」の魅力を書きましたが、とにかく読んでみれば、そのおもしろさがすぐに分かると思いますよ。
ドラマ「破門」もおもしろい
「疫病神シリーズ」は、すでにBSスカパー!で映像化されています。
「破門」というタイトルで「疫病神」と「破門」を原作に、また、「螻蛄」はそのまんま映像化されています。
二宮を浜田岳、桑原を北村一輝の配役、原作のイメージにピッタリです。
桑原演じる北村一輝の大阪弁は、関西ネイティブの方が聞いても、全く違和感がないと思いますし、ストーリー展開も原作をベースに、引き込まれる内容です。
こちらは、ドラマ第五話以降の「破門」パートの人物相関図。
登場人物が多くてややこしいですね・・・。
キーマンの一人・小清水(矢印集中している人)を演じるのは「いやみ課長」の木下ほうか。良い味を出してますよ(笑)。
番組紹介はこちら。
スカパーはこちら。
DVDはこちら。
映画「破門」が2017年1月に公開
そして、映画でも「破門」が上映されますね。
桑原を佐々木蔵之助、 二宮を横山裕(関ジャニ∞)が演じています。
予告編を見る限りでは、かなり軽快なつくりになっています。
BSスカパー!のドラマのほうが、原作の雰囲気が出ているように思えます・・・。
おわりに
黒川博行氏の作品で、もうひとつ特徴的なことがあります。
それは、登場人物は、途中で「XXXXない」こと。
この「XXXXない」は何か、ぜひ、作品を読んで見つけてください。
では、また。
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