先月末までだった国会会期が12月14日まで延長された。

 政府・与党は延長国会で年金制度改革法案の成立をめざす。これに対し、民進党などは「年金カット法案」と批判し、与野党の対立が続く。

 法案は、現役世代の賃金が下がった時に、それにあわせて年金も下げるルールを徹底する。支給額が上がる場合でも、増加額を毎年1%程度ずつ抑える「マクロ経済スライド」も強化する。

 年金を受ける世代には厳しい内容だが、避けて通れない改革でもある。

 年金をめぐっては、現役世代には将来、十分な金額を受け取れるのかという不安がある。法案は、将来世代の年金水準を守り、年金制度を持続させていくためのものだ。

 ただ、法案に対しては高齢世代を中心に、年金が細れば生活が成り立たなくなるのではないかという根強い不安がある。

 給付の抑制は年金の少ない人にも及ぶ。これまでも低額でやりくりしてきた人への配慮をどうするか、など国会の場で議論を深めるべきテーマは多い。

 政府・与党はまた、環太平洋経済連携協定(TPP)承認案・関連法案の成立をめざす。

 トランプ次期米大統領の当選でTPP発効が見通せなくなったなか、世界で広がる保護主義への不安にどう向き合うか。TPPのない日本の未来図をどう描き直すべきか。

 ここでも与野党のかみ合った議論が重要な局面なのに、論戦はすれ違いを続けている。

 国民の生活に直結する年金制度やTPPの議論は本来、与野党が共通の基盤にたつことが望ましい。少数者である野党の主張にも耳を傾け、採り入れるべきは採り入れる。それが圧倒的な議席数を握る与党のあるべき姿のはずだ。

 それなのに、政府・与党が見せつけたのは、最後は数の力で押し切ればいいと言わんばかりの巨大与党のおごりである。

 山本有二農水相はTPP法案の「強行採決」を与党に求めるかのような発言をし、萩生田光一官房副長官は野党の反対を「茶番」と切り捨てた。

 首相も先週、年金法案の衆院厚生労働委員会での採決強行を前に、民進党議員の質問に「私が述べたことをまったくご理解いただいていないようであれば、こんな議論を何時間やっても同じですよ」と言った。

 野党議員も主権者である国民に選ばれた代表だ。その代表との議論を否定するような発言は、議論の基盤を崩すだけだ。