普段東京に暮らしていると、時折出張や旅行で関西に行った際に何かと戸惑うことが多い。食文化や街中を飛び交う関西弁(当たり前だが)などもそうだが、意外と困ってしまうのが“鉄道の違い”ではないだろうか。東京も大阪も同じような大都市なので、東京で普段使っている感覚のまま鉄道を利用しようとすると、思わぬ“東西の違い”でドツボにハマる……なんてこともある。
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というわけで、関東在住の人が戸惑ってしまう関西ならではの鉄道の特徴7選を紹介しよう。車両が関西のほうが個性的……などもあるのだが、それらは専門家に譲るとして、ここでは実際に利用するにあたって関東人がぶち当たる“関西の鉄道のカベ”にスポットをあてることにする。
■出張で新大阪に着いたらまずここに注意!
1)エスカレーター、左を空ける? 右を空ける?
これはあまりにも有名なのでここで改めて説明する必要もないかもしれないし、そもそも鉄道だけの話でもない。が、一応説明しておくと、関東地方ではエスカレーターを歩く人のために右側を空けるのが一般的。一方、関西では左側を空けるのが一般的だ。
新幹線で新大阪駅に着くと、いきなり変わっているので戸惑う人は多いだろう。ちなみに、大阪市内では概ね“左空け”で通じるが、お隣の京都に行くと意外とバラバラ。よその地方から来た観光客が右側を空けた状態でエスカレーターに乗っていると、後ろの人もそれに合わせて……ということなのだろうか。観光都市ならではの光景と言えるだろう。
なお、本来はエスカレーターを歩くのはNG。安全に支障をきたすこともあるので、関東でも関西でも急ぐ人は階段を使いましょう。
2)慌てて飛び乗ったらそこは女性専用車!?
新大阪駅で新幹線から地下鉄御堂筋線に乗り換える人は多いだろう。そんなみなさんに注意してほしいのは、女性専用車の位置。関東地方では、女性専用車を導入している多くの路線で“編成の端”が専用車となっている。さらに時間帯も朝のラッシュ時限定。ところが、地下鉄御堂筋線は10両編成のほぼ真ん中、6号車が女性専用車。さらに平日は終日だ。
これの何が問題かというと、御堂筋線の新大阪駅、新幹線から乗り換えるとちょうど5~7号車付近に乗りやすいのだ。何気なく乗ってしまってから、周囲は女性だけ……なんてことにならないよう「6号車は女性専用」と男性は肝に銘じておこう。
なお、同様に阪急京都本線も、2人がけシートのある車両で運転される平日の特急・通勤特急は、5号車が終日女性専用車だ。こちらも間違えないように注意しよう。もちろん、女性なら気にすることのないお話なのであしからず。
■歩いて乗り換えできると思ったら……
3)同じ駅名なのに乗り換えできない?
関東地方ではJRも私鉄も同じ駅名だったら乗り換えできるのが当たり前。JRでも京王線でも小田急線でも新宿駅は新宿駅だ。ところが、古くからJR(国鉄)と私鉄各線が競合関係だった関西では事情が違う。
例えば、尼崎駅。「尼崎」という駅はJRと阪神にそれぞれあるけれど、なぜ同じ駅名にしたのか思わず憤慨してしまうほど離れている。歩いて乗り換えようとすれば、実に30分以上だ。同様の例はたくさんあるので、代表的なところを列挙してみよう。
●宇治駅(京阪宇治線/JR奈良線)
どちらも宇治平等院などへの観光の玄関口ではあるが、京阪は宇治川の東、JRは宇治川の西にある。
●西宮駅(JR東海道本線/阪神本線)
歩いて乗り換えることも可能ではあるが、徒歩で約13分。さらに阪急にも西宮北口駅があるからややこしい……。
●JR難波駅/なんば駅/大阪難波駅(JR関西本線/南海本線・市営地下鉄/近鉄・阪神)
JRは漢字表記で頭に“JR”が付き、近鉄・阪神は“大阪”が頭に。地下鉄と南海はひらがな表記というのがまずややこしい。さらに、地下鉄・南海・阪神・近鉄はいずれも至近距離にあるのですぐに乗り換えられるが、JRは少々西に離れているので乗り換えにはふさわしくない。鶴橋もしくは新今宮を利用しよう。
●三ノ宮駅/神戸三宮駅/三宮駅(JR東海道本線/阪神本線・阪急神戸線/市営地下鉄・神戸新交通ポートライナー)
ちょっと特殊なのがこちら。どれも同じ場所にあって乗り換えできるのだが、微妙に駅名が異なるのがややこしい。さらに、JR・阪神・阪急はいずれも東西に走る路線で乗り換え客がいることを想定していないのか、乗り換え案内がやや不親切。三宮で乗り換える予定なら時間に余裕を持つべし、である。
いかがだろうか。関東人なら同じ駅名なら素直に乗り換えられるようにしてくれ! と、思ってしまうはずだ。
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