置き型ファブリーズ「すがすがしいナチュラルガーデンの香り」=P&G提供
日用品世界最大手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、消臭剤「ファブリーズ」(置き型)のテレビCM「ファブリーズVSくさや」の放送を中止すると28日発表した。12月から別の内容に差し替える。生産地から苦情が寄せられたためで、同社は「配慮に欠けた内容があり、くさやを大切な食文化として愛する方々に不快な思いをさせた」と謝罪した。
CMは昨年春にインターネット版が公開され、今年11月14日からはテレビでも「真剣勝負 ファブリーズVSくさや」と題して放送が始まった。くさやはムロアジなどを独特の発酵液に漬けた伊豆諸島特産の干物で、強いにおいで知られている。テレビCMは、透明なケースに入ったくさやのにおいをかいだ女性が「臭い」と顔をしかめる一方で、置き型ファブリーズを一緒に入れたケースでは「におわない」と笑顔になり、最後に「ファブリーズの勝利!!」のテロップが入るという内容。
先週になって伊豆諸島の視聴者らから「くさやのにおいのきつさだけを強調している」「(特産品を)愛をもって取り扱ってほしい」など十数件の苦情が寄せられたという。CMに対する意見の数としては多くはなかったものの、「当事者の心証を害したことを深く受け止め」(広報担当者)中止を決めた。ファブリーズ部門の責任者が、週末に東京・池袋で開かれていた物産展に出向き、くさや生産者に直接経緯などを説明するとともに謝罪したという。
CMはネット版も既に同社のホームページ上から削除している。【増田博樹/デジタル報道センター】