小池都知事、クリスマス決着に向け「秘策」有明アリーナに民間資金投入案も

2016年12月1日6時0分  スポーツ報知
  • 小池都知事

 2020年東京五輪・パラリンピックでバレーボール会場の候補地となる有明アリーナ(東京・江東区)について、事業主体の東京都が民間資金を調達して建設するなど税金による支出を大幅に削減する複数の案を検討していることが30日、都関係者への取材で分かった。五輪後の運営も、定期的なイベントを確保し、民間のノウハウを生かした形で行う方針。都は横浜アリーナも会場候補の選択肢として示しており、小池百合子都知事(64)は判断の期限を「クリスマスまでに」としている。

 組織委などが推進してきた有明アリーナ案は、整備費すべてを税金で支出し、民間事業者が運営する「公設民営」方式を採用する予定だった。

 複数の都関係者によると、都が検討しているのは、整備費を民間企業から調達する方法。税金による支出を削減することで、都の財政負担を軽減する狙いがある。 建設費や運営費などを共同事業体(コンソーシアム)が負担する案や、施設の所有権などを民間事業者に移転せず、運営権を長期間にわたって付与するコンセッション方式などが検討されている。民間のノウハウを生かすことで施設の稼働率や収益を上げる取り組みが期待できる。

 ただ、五輪後の有明アリーナの運営事業者は、舛添要一前知事時代の15年10月に東京ドーム関連会社やスポーツ用品会社のミズノに決定しているため、新たな民間事業者の選定には契約を見直す必要がある。また民間資金を活用するには、各社の運営案についてコンペを実施するなど、制度設計に向けた一定の手続きを取り、定期的に集客できるイベントやコンテンツを確保できるかも課題となる。

 最新のIT技術の導入やVIPルームを完備するなど独特の空間が演出できるアリーナは、コンサートなどのエンターテインメントイベントの開催が可能。稼働率も上がることから「稼げる施設」として欧米では主流となっており、日本では、ゼビオアリーナ仙台(仙台市太白区)が収益を上げている。国内では主要なコンサート施設の改修工事が重なって会場不足が深刻化している実態もあり、新たな大型施設が待望されている。

 都は既存施設の代替地として、横浜アリーナについても検討しているが、地元自治体の合意などクリアすべき課題が多い。国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ副会長は29日の組織委員会、都、政府とのトップ級会合で「民間資金が導入か検討してほしい。運営権を売却することも収入になる」と要望していた。

 小池知事はこの日、テレビ朝日の「報道ステーション」に出演。施設利用のあり方について、「民間企業に手を挙げていただければ、プラスになる。赤字を垂れ流さないこと、全体のビジョンが大切だ」と強調した。

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