高齢者の医療費 自己負担上限引き上げ措置示す

高齢者の医療費 自己負担上限引き上げ措置示す
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来年度の予算編成をめぐって、厚生労働省は、社会保障審議会に対し、増大する社会保障費の抑制策として、一定の所得がある高齢者の医療費の自己負担上限額を引き上げる措置などを示しました。
政府は、増大する社会保障費を抑制しようと来年度予算案の概算要求で6400億円と見込まれている社会保障費の伸びを5000億円程度に抑える方針で、厚生労働省は、来年度の予算編成に向けて、医療・介護分野で高齢者の負担を増やすことを検討しています。

このうち医療分野の負担について、厚生労働省は、30日開かれた厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の部会に案を示しました。

それによりますと、毎月の医療費の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」では、70歳以上の高齢者の自己負担の上限額を、年収およそ370万円以上の人は、現役世代と同様に3段階の所得区分に応じて引き上げる一方、年収およそ370万円未満の人のうち住民税が課税される人についても引き上げるとしています。

また75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」では、年収が153万円から211万円の人について、所得に比例した負担を5割軽減している特例を来年度廃止し、専業主婦らの保険料を最大で9割軽減する特例を来年度から段階的に縮小するとしています。

これに対し出席者からは、「負担能力に応じた引き上げは、やむをえないが、患者への影響を考慮して段階的に実施すべきだ」という指摘や、「低所得者の負担については、より慎重に議論すべきだ」という意見が出されました。厚生労働省は社会保障審議会で出された意見なども踏まえて予算編成に向け政府・与党内の調整を進める考えです。