東京都檜原村にある「天光寺」で、住職が体験修行生に暴力を振るう問題があった。住職は棒で叩いたことを認めた上で「教育の一環」と主張した。修行の実態とは。BuzzFeed Newsに元職員が証言した。
天光寺 / Via tenkouji.jp
まず、経緯を振り返る。
天光寺に体験修行として来ていた中学3年の男子生徒が11月11日、立川児童相談所に保護された。少年は住職から暴行を受けたと訴えた。
20日、高尾聖賢住職(65)は弁護士とともに記者会見を行った。
住職は棒で叩いたことを認めたうえで、「親御さんから、まっとうな人間になるため、厳しくしてくれと言われた」「教育の範囲内で叩いた」と釈明。
また、「火災の恐れのある布団置き場で喫煙していたので叩いた。口頭注意では効果がなかった。教育の一環であり、暴行ではない」と説明した。
BuzzFeed Newsは、体験修行の実態を探るべく、過去に参加した複数の人物に接触。24日付で記事を掲載した。
掲載後、以前、天光寺に勤務していた人物から情報提供があった。働いていたからこそ知り得る、内部の様子が語られた。
元職員は(以下、Aさん)、2014年11月から2015年4月まで天光寺に勤めていた。職員しか持ち得ない書類などで確認を取った。
以下は、Aさんの証言だ。天光寺側のコメントを得ようと連絡を取っているが、11月30日時点、音信不通が続いている。
まず、Aさんは一連の報道をみてこう話す。
「『やっぱりやってしまった』と思いました。驚いたのが、スタッフではなく、体験修行生に暴行を振るったというところです」
Aさんが勤務している期間、住職から職員への暴行が頻繁に見られたという。当時、体験修行生への暴行はなかったのか?
「2015年2月、親に連れてこられた中学3年生が道場から脱走しました。職員が探し出し、連れて帰ったら、高尾住職から『なんで迷惑をかけるんだ、なんで言うことを聞かないのか』と事務所で正座させられ、殴られていました」
ほかの職員は、その様子を見ていた。止める人はいなかったのか?
「あの住職の性格ですから、止めるなんてちょっと……。体験修行生で反抗する子は脱走します。それで捕まったら殴られる」
Aさんは続ける。
「ある職員(Bとする)は、精神的に弱い人で反抗できないタイプでした。修行着の着方がだらしないなどと、頻繁に殴られていました」
「ある日、住職が『Bに気合いを入れてやれ。風呂場で高圧洗浄機で身体洗ってやれ』と私に指示しました。躊躇していると、ほかの職員が風呂場に連れていき、Bに向かって高圧洗浄機を当てていました」
Aさんによると、Bさんはその後、精神病院に入院したという。
顔面を殴打されていた職員もいて、両親が迎えに来て寺を辞めたそうだ。これ以外にも、Aさんは多数の暴行を目撃している。
日本テレビの報道では、食べ残した食事を出したり、賞味期限切れの食材を提供したりする場面が映された。
「私がいたときは、体験修行生に賞味期限切れを出すようなことは、絶対になかったです。傷んだものは職員で食べていました。さすがに食べられないものは、処分です」
しかし、食品を管理していた職員が辞めてからは、管理体制がずさんになったという。この職員も暴行が理由で退職したとAさんは話す。
「私がいたころは、新米の白米を買っていましたが、銀行から融資を受けられなくなってから資金繰りは厳しくなって来ました」
毎年、新入社員40人ほどが体験修行に来ていた大手芸能会社が参加しなくなったこともあり、収入が激減したという。
天光寺は個人だけではなく、企業向けにも体験修行を実施している。個人よりも多くの人が参加する企業向け研修は、寺にとって大きな収入源だった。
体験修行は、他の寺でも開かれている。Aさんは「今回の件で、ほかのお堂も体罰暴力を振るっていると思われます」と懸念する。
最後にこう訴えた。
「今後一切、宗教法人を名乗るな、と。その上で被害者の方に謝罪して欲しいです」
育児放棄された子どもたちへの被害
また、BuzzFeed Newsは、寺に出入りしており、保護された少年と実際に面識がある人物にも接触できた。
「あの子は住職に奴隷のように扱われていました。気が弱くて反抗しないこと、親が迎えに来ないことに漬けこんで、雑用などをやらされていました」
また、天光寺にいる子どもたちは、育児放棄された子たちが多かったと主張する。
「親に見捨てられ、そのうえ暴行を受けるなんて。これ以上、被害が出ないように……」
高尾住職は、20日の記者会見の時点では「続けていきます。要望もかなりあるし」と今後も体験修行を受け入れ続ける方針を示していた。
ただし、11月30日時点、公式ホームページには以下のようにある。
「現在『体験修行』のお申し込みは一時停止しております。大変申し訳ございませんが再開時にご報告いたしますので今しばらくお待ちください。」