経営再建中のシャープの人材難が深刻化している。業績低迷で2012年と2015年に計6000人超の希望退職を実施したことに加え、不振を防げなかった旧経営陣が相次いで競合他社へ移るなど、流出が続いている。親会社となった台湾の鴻海精密工業との連携を深めるも、立て直しに向けた担い手の不足感があり、新たに技術者の採用を始めた。一方で鴻海は、スリム化のため国内外で更に大規模な人員削減の可能性も示唆しており、方向感が今ひとつ定まらない。再建が思惑通り進むか、不透明な情勢が続く。
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鴻海側による3888億円の出資が8月に完了し、シャープは日本の大手電機メーカーで初めて外資の傘下に入った。
新生シャープを率いるのは鴻海グループナンバー2の戴正呉(タイ・セイゴ)氏だ。シャープ社長に就任した直後の8月下旬、「仕事をせずに遊んで給料を貰っている人がいる」と不満を露わにしたという。人事制度の見直しが急務として、待遇面の改善や重複する業務の効率化に真っ先に取り組んだ。
掲げる方針が信賞必罰だ。業績悪化を受けて実施していた一般社員の給与カットをやめ、冬のボーナスは結果を残した若手管理職を中心に「社長特別賞与」を上乗せして支給することにした。士気高揚を図る一方で、勤務状況や成果が芳しくなければ降格させる制度もマネージャー職に取り入れた。
戴氏自身は無報酬にすると決めた。11月に東京で中間決算の記者会見をした際は「毎日が有言実行だ」と心境を語った。自らを厳しく律して率先垂範する構えだ。徹底した成果主義で業績改善を急ぐ。
ただ、シャープ復活に向け、課題は山積する。2016年3月期連結純損失は2年連続で2000億円を超えた。2017年3月期は赤字幅を418億円まで縮小させる見通しだが、依然厳しい舵取りが続く。出資前の今年6月、鴻海の郭台銘(カク・タイメイ)会長は更に国内外で7000人規模の人員削減が必要との考えを示唆。以来、シャープ社内には戦々恐々とした雰囲気も漂う。
昨年実施した希望退職と2012年分を合わせ、既に6000人を超す社員がシャープを去った。ある男性社員は「これ以上の人員整理は無茶だ。乾いた雑巾を絞るようなもの」と漏らす。
しかし鴻海側は人員や業務の面で効率化できる余地がまだ大きいとみて、改革の大なたを振るう。急速な職場環境の変化に、不安を抱く社員は少なくない。
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